それでは、一体どこまでのことをすれば、税務当局として
「債務者の資産状況、支払能力等から見てその全額が回収できないことが明らかになった」
と認めてくれるのでしょうか。
もし、簡単に巨額の貸し倒れが認められるとすると、役員・家族・友人・知人にどんどんお金を貸し、片っ端から貸し倒れということにしてしまえば、寄付や賞与認定を免れる不当な脱税が横行することとなります。
とはいえ、夜逃げした零細業者に対する数十万円の債権にまで、逐一面倒くさい手続きを要求されたらたまったもんじゃありません。
つまるところ、税務当局をしかるべき形で納得させる状況を作っておくべきというほかなく、現実には
「損金処理を考えている債権額の規模に比例して、適正と考えられる、回収行動や債務者の資産状況検証を行う」
ということが推奨されます。
規模の大きい債権で、しかも貸し付け年度内に貸し倒れたことにする状況の場合、単に、
「夜逃げしたようです。督促状が届きません」
というだけでは、税務当局が損金経理を認めてくれない可能性もあります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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