00335_日本企業の法務格差(2)法務「無能力」企業

地方等においては
「法務無能力」
とも評すべき企業も多数存在します。

2005年に大阪市立大学大学院法学研究科
「企業法務研究プロジェクト」
が実施した調査によると、1,838社の大阪府下の中小企業中、顧問弁護士がいないと回答した企業は1,530社(83%)に上ったそうです(『中小企業法の理論と実務』高橋員=村上幸隆編・民事法研究会、591頁)。

東京に次ぐ大都市である大阪ですらこのような状況ですから、その他の地方都市の企業の法務支援体制は推して知るべしです。

地方では弁護士の数が不足していることもあり、税理士や司法書士、行政書士が事実上顧問弁護士としての役割を担い、企業の契約書をチェックし、法務上の相談に応じ、ときには訴訟指導等もしていることは公然と知られた事実です。

そして、このような形の法務上の処置が原因で後日深刻なトラブルに発展するケースも実に多く存在します。

前述のとおり、現在の産業社会は、法務弱者企業や法務無能力企業が生き残れるほど寛容ではありません。

有効な企業法務上の助言が得られないばかりに、不祥事や契約リスクが現実化し、倒産や廃業等を余儀なくされ、市場から退場させられた企業は数多く存在します。

いずれにせよ、これだけ法令遵守や法務武装の重要性が叫ばれている中、企業の継続的発展のためにも適切な法務体制構築は極めて重要といえます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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