市場において価格と品質を自由に競わせる原理(自由競争原理)は、資本主義経済体制を採用するわが国において、国是ともいうべき重要なドクトリンです。
とはいえ、自由競争も、度が過ぎれば
「一部の強大なプレーヤーが市場を勝手に操り、自由競争の基盤を破壊して、かえって経済の発展を困難にする」
という弊害を招きます。
そこで、法は、
「市場における一部の強大なプレーヤー」
が自由競争の基盤を破壊するような横暴な行為を、取引社会の健全な発展のため、例外的に禁止しています。
このような規制は、独禁法
「不公正取引の禁止」
が有名ですが、独禁法違反で処理をするには時間を要します。
そこで、
「強大な発注者側企業が、下請業者に対して、無理難題・暴虐の限りを尽くし、能率競争に基づく経済の健全な発展を害するような事態が生じる」
と一般的に想定される事例を類型化し、簡易迅速な手続でこのような事態を適正化することを盛り込んだ
「下請代金支払遅延等防止法」(いわゆる「下請法」)
が制定されています。
下請法では、下請業者に対して従前要求されがちであった11種類の不公正取引行為を禁止しており、これに違反すると、公取委から是正勧告がなされ、違反内容等とともに会社名が公表されます。
同法4条1項3号は
「下請代金の減額」
を禁止しており、下請業者にキックバックを支払わせる等の行為も、この
「下請代金の減額」
となるとされていますので、下請法違反となるのが大原則です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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