00418_「優越的地位の濫用」に対するペナルティ

経済の発展のためには、市場のプレーヤーたる契約当事者らが競争を続けることが必要であり、そのために、自由な契約交渉を行い、自由に契約を締結できるのが原則となっています。

ところが、弱肉強食の経済体制を放置すれば、かえって強者のみが勝ち続けて競争がなくなり、経済が発展しなくなります。

そこで、独占禁止法は、
「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」
「正常な商慣習」
に照らし不当な取引をすることを禁止しています。

具体的には、優越的な地位を利用して、取引の相手方に従業員を派遣させたり、経済上の利益を提供させることや、在庫品を引き取らせることなどが、
「優越的地位の濫用」
として禁止されています。

公取委は
「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」
というガイドラインを作成しています。

これによると、
「取引の継続が困難になることから、著しく不利益な要請を受けても受け入れざるを得ない場合」
であれば
「優越的地位」
に当たるとされ、公正な競争秩序の維持から是認されるものが
「正常な商慣習」
であるとされています。

例えば、70店舗、年商1千億円と結構な規模のスーパーのチェーンストア会社と、この納入業者との関係をみると、納入業者としては言いなりにならざるを得ず、スーパーがその地位を濫用して本来の競争では起こりえないような無茶な行いをすると、公正な競争秩序が維持できないことから、優越的地位の濫用と判断される可能性があるといえます。

独占禁止法に基づき、公取委は、優越的地位の濫用について、
「排除措置命令」
だけではなく、
「課徴金納付命令」
すなわち、課徴金を納付させる措置ができます。

優越的地位の濫用をした事業者は、優越的地位の濫用をした相手方との間の取引額の1%を、課徴金として国庫に収めることになりましたので、
「お叱りを受ける」
「謝れば済む」
わけではなく、かなりの経済的ダメージを被ることになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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