00465_エコ表示と優良誤認

企業のコンシューマーセールス(消費者向営業活動)を規制するものとして、消費者を誤認させるような不当な商品表示や射幸心を煽るような過大な景品類の提供に対しては、これらを禁止する目的で定められた不当景品類及び不当表示防止法(景表法)の規制が及びます。

顧客誘引に力を入れなくても十分なブランド力がある企業等は、これまで景表法など意識すらしなかったと思われます。

しかし、最近では、個人消費が冷え込み、また業界再編の波を受けて企業間競争も活発になり、積極的に顧客誘引を行おうとした結果、大企業でも景表法に抵触してしまう、という事例が出てきています。

景表法違反の措置としては、排除措置命令(同法6条)を受け、カタログやチラシやポスターの回収等が命じられる場合があります(なお、当該措置命令に違反した場合、刑事罰が科されることも制度上予定されています)。

何よりも同法違反によって消費者に対する信用がダメージを受け、売り上げの低迷や株価の低下を招く、といった事業への悪影響が生じます。

同法第4条第1項第1号は、事業者が、商品やサービスに関して、その品質・規格その他の内容について、一般消費者に対し、
1 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
2 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって、不当に顧客を誘引する等のおそれがあると認められる表示を禁止しています。

具体的には、商品等の品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争相手よりあたかも優れているかのように偽って宣伝したりする行為が該当します(2009年4月20日には過大なエコ表示に関して大手家電メーカーに対して排除措置命令が出されました)。

そしてこの規制は、故意に偽った場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認と外形的に認められる場合には、同法の規制を受けるため、十分な注意が必要です。

この規制に該当すると上記排除措置命令が出されることが一般ですが、そのための調査として、消費者庁長官(実際には委任を受けた公正取引委員会)が、期間を定めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めてきます。 

そして、この提出に応じないとか、十分な資料が提出できないなどということになると、
「不当表示」
とみなされてしまう、という仕組みを有しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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