00515_株式を担保に取る場合の段取り・ステップ・注意点

株式には経済的な価値がありますので、質入れや譲渡担保の対象となります。

ですので、株式を担保に差し入れることで、金融を得ることができるとされています。

しかしながら、非上場株式においては、株式市場に上場された株式のように評価が客観的に定まっているわけではなく、その株式の価値を算定することは極めて困難ですので、純粋に担保として用いられることはそれほど多いとは思われません。

一方で、M&A等の際には、後に質権を実行して支配権を得ることを想定に入れ、あらかじめ株式に質権を設定しておくなどという手段が用いられることがあります。

これは、株式の
「経済的価値」
というよりも、むしろ支配権につながる
「持分的価値(発言権や、会社を好き勝手仕切る権利に基づくオーナーシップとしての価値)」
に着目して質権設定がなされているということができます。

さて、株式の質入れの話について簡単に説明いたしますと、一般に、
「略式質」

「登録質」
の方法があるとされています。

株券発行会社においては、株券自体を担保設定時に引き渡すことで、質権者に株券の占有を現実に移し、簡易に質権設定が可能となります(略式質)。

一方、登録質は、これに加えて株主名簿に質権者である旨の記載を行うことで、会社に対しても質権者であることを明確に対抗可能とする形式を指します。

質権を含む担保権の実行は原則的に
「法律に定める方法」
によって行わなければなりません。

担保権の実行は、要するに、強制執行を意味していますから、そのような債務者の権利義務に直接影響がある事柄に関しては、裁判所を通じた公平な形での執行がなされなければならない、ということを意味しています。

例えば、抵当権が設定された不動産が競売されるときに、必ず裁判所を通して行われるのはこの趣旨に基づいています。

そこで、質権に関しても、民法349条により、私的に
「質権者に弁済として質物の所有権を取得させ」
ることが禁止されており(流質合意の禁止)、このような裁判所を通じた強制執行手続を経ることが必要とされています。

非上場株式の強制執行について付言しますと、非上場株式の経済的価値を客観的に評価し、それを売却し、当該売却代金をもって債務に充当するという手続きを踏むべきことになりますが、そのいずれも裁判所関与の下で行わなくてはならず、株価の鑑定も含めると、多大な時間と労力と手続費用が必要となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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