00521_ベンチャー企業を立ち上げる際、統治秩序構築上、一人株主による独裁・ワンマン体制が推奨される理由

起業する際、友人に出資してもらい、一緒に会社を立ち上げる方や、また、友人を取締役に迎えたり、果ては、共同代表体制を取られる方がいます。

しかし、想定外に儲かった場合でも、想定外に会社が潰れそうになった場合でも、儲けの分配を巡る紛争や、責任のなすりつけあいのトラブルなど、醜い紛争に発展することが結構な割合で発生します。

完全なイコールパートナーであれば格別、事業責任、財政責任を単独のオーナー兼リーダーが担うのであれば、単独株主、単独代表のワンマン体制がもっとも適切です。

その上で、協力者を参加させる場合、社内に常駐して手助けするのであれば雇用契約によって部下として処遇すべきですし、社外あるいは非常勤の立場で協力するならアドバイザリー契約等でお願いすればいいだけです。

これを超えて、基本的意思決定、業務上の意思決定にまで、多人数を巻き込むと、意思決定スピードが遅れますし、また、トラブルが起こったときに、脆弱性を露呈します。

というのは、ベンチャー起業で、まともに取締役会や株主総会を開催しているところはほぼ皆無であり、いざトラブルになると、これまでの会社の意思決定プロセスがいきなり法的に検証され、その結果、今まで一度も取締役会や株主総会を開催したことはなく、違法手続きのオンパレードで、モメる要素満載となり、野党サイドからすると、足を引っ張る材料に事欠かない、という状況に陥るからです。

皆で、ワイワイガヤガヤ楽しくというのも快適ですが、商売という、ゼニカネのかかった真剣勝負であれば、責任者がワンマンでガツガツ進めるのがもっとも適切な運営形態と考えられます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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