00545_「会社を法令に基づき取り締まるべき専門家」たる取締役のほとんどが、会社法を全く理解できていない実情と対処・克服方法

大抵のビジネスマンや経営者の方はおそろしく会社法に無知です。

弁護士になるには司法試験にパスする必要がありますし、公認会計士になるにも公認会計士試験にパスする必要があります。

ところが、会社の取締役や株主になるには、何の試験も必要ありません。

昔、
「おばけにゃ、学校も、試験も、何にもない」
という唄がありましたが、
「取締役にゃ、学校も、試験も、何にもなく、誰でもなれる」
という点で共通点があります。

そもそも法律的にどういう仕組であるかまったく知識なしに、多くの方々が出資をしたり、役員になったりされていますし、こういう知識の欠如が多くのトラブルの根源になっています。

で、トラブルになる人の傾向を見ていると、大抵は、
「実は会社法につき全くの無知なのに、経験からなんとなく知っている、という心理状態のまま法律行為に突入し、足元をすくわれる」
というのが典型的パターンです。

ちなみに、法学部卒で会社に入ったような方もほぼ同様で、法務部配属でもない限り、営業や企画や財務や製造管理などといった仕事を長年やっている間に、法律知識はほぼ皆無の状態となっています。

ですので、取締役に就任した方は、
「取締役にゃ、学校も、試験も、何にもなく、誰でもなれる」
という点を銘記していただき、会社法をがんばって勉強するか、そんな暇がなければ、専門家と常にコンタクトを取れる状況にして、法的無知の状況を対処・克服すべきです。

取締役となると、大きな権力と責任、魅力的な処遇や立場が与えられ、とかく勘違いしやすいのですが、取締役に就任したからといって、突然、法的知性に覚醒したり、法的知識が増え、法的無知である状況が改善されるわけでもありません。

出世に伴う処遇環境の改善による自己陶酔感に酔いしれ、
「知ったかぶり」
「知っているつもり」
にならず、大きなことや、新しいことや、想定外の事態に触れたら、不安に感じるセンサーを働かせ、謙虚に、専門家に相談しながら、慎重に進めることが推奨されます。

近時、
「コンプライアンス経営」

「法務戦略を踏まえた迅速な経営意思決定」
を確保する観点から、ボード(取締役会)に社外取締役として弁護士を招聘し、会社の重大な意思決定をする際、リアルタイムで助言を受け、リスク管理をする、という方法が一般的になりつつありますが、取締役の法的知識の欠如を補完する方法として極めて現実的で合理的であり、十分考慮に値します。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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