00589_企業法務ケーススタディ(No.0197):名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意ををご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社三屋根屋 代表取締役 三屋根 誠一(みやねや せいいち、51歳)

相談概要:
相談者は、製造委託先から社名変更の申出を受けました。
その社名が相談者の会社名と酷似することについては、恩も名前も売れるからと快諾しました。
ある日、見知らぬ会社から、製造委託会社に納入した調理機器代金を請求したが連絡がつかないから、代わりに支払うよう請求されましたが、 断りました。
しかし、請求してきた会社は、
「たとえ別の事業者であったとしても、『三屋根屋』という名称を使用させていた以上、御社にも支払う責任がある」
と、いいます。
以上の詳細は、ケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 名板貸し(ないたがし)とは
「自己の商号の使用を他人に許諾すること」

「名板貸(ないたがし)」
といい、商号使用の許諾元を
「名板貸人」
許諾先を
「名板借人」
と呼びます。
名板貸人の商号に
「支店」

「出張所」
等のような語が加えられたとしても、同一性を害しない範囲であれば、名板貸の責任が生じるとされています。
以上の詳細は、ケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を【名板貸し(ないたがし)とは】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2: 「名板貸し責任」発生の要件
名板貸人は
「無条件で責任を負わせられる」
というわけではなく、次の要件が要求されます。
1 虚偽の外観の存在(名板借人による商号の使用)
2 当該外観への信頼(第三者が名板借人を名板貸人であると信じたこと)
3 当該外観作出についての名板貸人の帰責性(名板貸人が自己の商号を使用して事業を行うことを自ら許諾していたこと)
悪意や重過失など第三者側に落ち度がある場合は、名板貸人に責任は発生しません。
以上の詳細は、ケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を【「名板貸し責任」発生の要件】をご覧ください。

モデル助言:
2つの商号は酷似しているうえ、商号を作出する際に許諾を与えていることから、
「名板貸としての責任」
を回避しにくい状況といえるでしょう。
とはいえ、無関係の会社に代わって代金を支払うのも馬鹿らしいですよね。
別事業者であることは地元では有名だったようですので、請求会社も知っていて当然であったとの反論を準備しましょう。
相手の要件の不備を突きつつ、安めの解決金で示談して、訴訟を回避しましょうか。
有名になったのをいいことに、コマーシャルを打つよりも安い! などと考えて、あっちこっちに商号の利用を許可するなんて安易なことをして、名板貸し責任を追及されてしまったら、こんなに高いコマーシャルはありませんからね。
以上の詳細は、ケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を【今回の経営者・三屋根(ミヤネ)社長への処方箋】その1ケース4:名板貸し(ないたがし)リスクにご注意を【今回の経営者・三屋根(ミヤネ)社長への処方箋】その2をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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