00617_企業法務ケーススタディ(No.0208):自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社ダンジリ電機 代表取締役 恐原 一博(きょうはら かずひろ、48歳)

相談概要:
資本金300万円の会社オーナーである相談者は、売れ残った商品を納入業者に大量返品したうえに仕入れの代金を大幅にカットしたところ、公正取引委員会から、独禁法に違反する疑いあるとのことで調査に回答するようにと連絡がきました。
無視していると、今度は、呼び出しがきました。
それも無視していたら、今度は、課徴金を払うようにと連絡がきましたが、よくわからないからと、とりあえず放置しています。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【事例紹介編】その1ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【事例紹介編】その2をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 自由かつ公正な競争を促すための基本的ルール
独禁法(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の略称)は、フェアな競争を阻害する行為である
1)私的独占
2)不当な取引制限(カルテル)
3)不公正な取引方法等
を違法行為として禁止しています。
「下請法」(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)
は独禁法の子分格の法律で、大きなくくりでいうと、
「反競争法」
というグループの法律として整理され、大企業が中小零細企業をいじめる際に適用されるものです。
下請法という特別法(子分格の法律)の適用がなければ、本則・大元・親分格の法律である独禁法の問題となり、
「優越的地位の濫用」
といわれる規制の適否が問題となります。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【自由かつ公正な競争を促すための基本的ルール】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2: 「フェアな競争を阻害する行為」が禁止される理由
一企業が市場を独占し、あるいは、複数の企業が手を取り合い競争を回避するなどの行為をすることで、企業間競争がなくなり、ひいては、消費者が割高な値段で商品を購入せざるを得ないといった不利益を被ることから、禁止されている、と説明されます。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【「フェアな競争を阻害する行為」が禁止される理由】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 独禁法で禁止されている違法行為とは
1)私的独占(法2条5項、3条前段)
2)不当な取引制限(2条6項 3条後段)
3)不公正な取引方法(法2条9項、19条等)
不公正取引については、
「具体的にどのような行為がNGか」
を具体的かつ明確にされていることに加え、公正取引委員会が作成した
「ガイドライン」
が作られています。
企業は、ガイドラインを参照して自社の行為が独禁法違反にならないかどうかを判断していくことになります。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【独禁法で禁止されている違法行為とは】その1ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【独禁法で禁止されている違法行為とは】その2をご覧ください

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点4: 優越的地位の濫用とは
「返品」・「減額行為」
は、
「3)不公正な取引」
の一類型である
「優越的地位の濫用」(法第2条9項5号)
と呼ばれる行為で、
(1)自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して
(2)正常な商慣習に照らして不当に
(3)濫用行為をすることを指します。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【優越的地位の濫用とは】をご覧ください

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点5: 独禁法違反を理由とした制裁
企業の行為が独禁法に違反した場合には、
1)排除措置命令
2)課徴金納付命令
が下され、さらに、
3)社名公表
され、公共工事やお役所の出入り業者等に関しては、
「指名停止処分」
を食らい、憂き目を見るリスクが生じます。
トイザらス事件(平成27年6月4日審決)では、
「取引の相手方にとって通常は何ら合理性のないことであるから」
という価値判断が中核となって、
(1) 大規模小売業者がした返品・減額行為はいずれも、濫用行為である
(2) したがって、この濫用行為は優越的地位を利用したものである
(3) このような独禁法違反行為は許されない
ことから、裁判所は、課徴金約2億円の支払いを命じています。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【独禁法違反を理由とした制裁】その1ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【独禁法違反を理由とした制裁】その2 をご覧ください 。

モデル助言:
企業としては、ガイドライン等を参照しつつ現場で用いることのできる
「マニュアル」
を整備し、それにしたがって個々の取引を精査し、問題点や改善点が見つかった場合には、ただちに社内で共有して是正していく努力が必要です。
以上の詳細は、ケース15:自由競争!弱肉強食!弱い者いじめして何が悪い!?【今回の経営者・恐原(きょうはら)社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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