00619_企業法務ケーススタディ(No.0210):不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社ファーストクラス 代表取締役 末狡 要逸(ますずる よういつ、67歳)

相談概要:
相談者の会社が性能データの偽装をおこなったことが暴露され、釈明の記者会見をしなければならない状況となりました。
記者会見乗り切りスキルを学べる本やマニュアル等は、ないのでしょうか。
以上の詳細は、ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: ありふれたことを滑稽なほどまわりくどく表現する霞が関言葉
経済学者の竹内靖雄氏が『日本人の行動文法』(東洋経済新報社)の中で、
「霞が関言葉」

「ありふれたことを滑稽なほどまわりくどく、もったいぶって表現する言葉」
と定義しています。

(出典:『中央公論』1995年5月号、イアン・アーシー著「『霞が関ことば』入門講座(前篇)」93ページ を元に筆者が作成)
(出典:『中央公論』1995年5月号、イアン・アーシー著「『霞が関ことば』入門講座(前篇)」93ページ を元に筆者が作成)

以上の詳細は、ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【ありふれたことを滑稽なほどまわりくどく表現する霞が関言葉】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2: 「無謬性」を本分とする日本一優秀な官僚の根源的なスキル
官僚や組織においては、ミスは絶対許されない一方でミスは避けられません。
そのためには、極力、抽象的で難解で、辞書を引かないと理解できないような言葉を常に使って
「目くらまし」
をし、さらに、どんなに明白なミスであっても特定の担当者や担当部署のチョンボとして謝罪をせず、不可避な外的事象によるものと説明することになります。
「霞が関言葉」
は、一朝一夕にできあがったものではありません。
「某国から発射されたミサイルを迎撃して撃ち落とす作戦命令」

「某国から飛来した“飛翔体”に対する破壊措置命令」
と言い換えたりするなど、長年の歴史的な伝統に基づき形成されてきた
「匠の技」
が見事に伝承されています。
以上の詳細は、ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【「無謬性」を本分とする日本一優秀な官僚の根源的なスキル】その1ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【「無謬性」を本分とする日本一優秀な官僚の根源的なスキル】その2をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 官僚答弁や政府談話に学ぶ危機管理対処スキル
危機管理モデルの巧拙という視点で評価しますと、東日本大震災の直後、東京電力福島第1原子力発電所での爆発事故で、東北や関東地方に放射性物質がまき散らされたという悲惨な事件を国民に伝える記者会見などでみられた、
「福島第1原発で何らかの“爆発的事象”の発生が確認されました」
「直ちに人体に影響を及ぼすものではありません」
「微量です。心配要りません。落ち着いてください。念のためです」
「原子炉の堅牢性は確認されている、とのことです」
といった、霞が関文学の粋を集めた数々の名文句(迷文句)にもさることながら、情報を小出しにし、サンドバッグ役に適した真面目で誠実そうなキャラのスポークスマンを配置し、病気や疲労という名目でスポークスマンを入れ替えて、特定個人が注目されないような配慮をしていました。
また、状況説明においてもできる限り難解で高尚な専門用語を多用し、他律的で外罰的な印象操作を行いつつ、
「事態対処に向けて努力をしている」
という姿勢を前面に出して、それ以上突っ込んで批判されにくい雰囲気を演出するなど、芸術的とも言える姑息さが発揮されていました。
以上の詳細は、ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【官僚答弁や政府談話に学ぶ危機管理対処スキル】をご覧ください。

モデル助言:
この種のデータ偽装はあってはならないことですし、最近特に、世間の目が厳しくなっていますので、今後は、このようないい加減なことをしないよう、しっかりと経営管理をしてください。
とはいえ、目先の危機はなんとしてでも乗り切らなければなりません。
非常手段として、霞が関言葉や官僚答弁を参考に、バランスを取りながらなんとか窮地を脱する方法を考えましょう。
改善や解決の努力は、ひたむきに、謙虚に、継続する姿勢を示すことです。
他方で、時間的冗長性の確保が最優先です。
以上の詳細は、ケース17:不祥事記者会見をなんとか乗り切るための極意【今回の経営者・末狡社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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