00622_企業法務ケーススタディ(No.0213):環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!

本ケーススタディの詳細は、日経BizGate誌上に連載しました 経営トップのための”法律オンチ”脱却講座 シリーズのケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!をご覧ください。

相談者プロフィール:
株式会社なんでも完成団 代表取締役 一坂 浩二(いちざか こうじ、75歳)

相談概要:
相談者は、5年前、自治体から熱烈なオファーを受け新工場を作りました。
工場の労働者は地元から雇用し、月に一度は現場への視察をかかさず、市長への表敬訪問をするなど、地元自治体とは極めて良好な関係を作っている、と自負しています。
先月、定例視察にいくと、工場前で、
「環境破壊をやめろ」
と集団が騒いでいましたが、工場長はまったく意に介していません。
そのようななか、市議会の議員有志と称する団体から相談者宛てに告発文が届きました。
工場長は、無視するように、の一点張りです。
以上の詳細は、ケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!【事例紹介編】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1: 環境規制の認知と理解はハードルが高い
環境法は、憲法や民法や刑法のように、環境規制を総括した全般的な法体系が存在するわけではありません。
環境基本法に加え、廃棄物処理法、悪臭防止法、大気汚染防止法、土壌汚染対策防止法・・・、条例なども加えると多数の法が存在し、これらをひっくるめて
「環境法」
と便宜的に呼称しています。
このようなことから、多くの企業で、
「環境に関する法規制に違反すると、それなりにヤヴァイことになる」
という意識はあるものの、
「詳細な決まりごとがよくわからないため、課題が発見・特定できず、制御や管理がおざなりになり、結果、知らないうちに法令違反をしてしまい、強制捜査を受けたり、逮捕されたり、書類送検されたり」
と問題が多発するのです。
以上の詳細は、ケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!【環境規制の認知と理解はハードルが高い】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2: 行政からの助け船があれば、すぐに乗り込め
行政サイドとしては、
「企業が、法を知り、理解し、守れるよう、指導すること」
が行動原理の第一であることから、いきなり処分を科すわけではありません。
まずは、法令違反を指摘し、改善指導をします。
それでも法が守られない場合、過酷な処分を科す方向に突き進まざるを得なくなります。
行政当局から、
「早めに改善しなさい。さもないと大変なことになりますよ」
という改善指導(行政指導)があれば、それは一種の
「助け舟」
で、さっさと乗り込むのが賢明です。
以上の詳細は、ケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!【行政からの助け船があれば、すぐに乗り込め】をご覧ください。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3: 現場の声を信じるな
人間には、危険な事象を過小評価して、正常なものをゆがめで認知するというバイアス(正常性バイアス)があり、このため、往々にして危険を過小評価し、回避する機会を逸することがあります。
また、想定外の変化の原因となるべき情報を得ても、楽観的に認識する心の作用もあります(楽観バイアス)。
工場長の立場を考えれば、仮に、法令違反の事態に直面した場合、自分の地位を脅かすことになりかねませんし、そのような悪夢よりも、
「こんなのたいしたことない」
と信じたいキモチが、自身の利害によって影響を受けることは想定され、最後の最後まで、事態を自分の手で制御し、上には見つからないように、あがいてあがいてあがきまくり、傷口を大きくする、ということもあり得ます。
以上の詳細は、ケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!【現場の声を信じるな】をご覧ください。

モデル助言:
異常事態には、漫然と現場を信じることなく、トップダウンで、直接、管理して乗り切るべきですね。
まず、工場長よりも格上の役員を派遣し、いったい、何が起きているか、特に、行政や反対派からどういうメッセージや要望がこれまで届いていたかを正確に把握してください。
また、環境規制を所管する担当部署を特定し、そこに直接話をしにいきましょう。
そのうえで、法令違反の事実ないし疑念があれば、きちんと調べ、直すべきは直し、謝るべきは謝り、
「当局の声に耳を傾け、自主的に改善する意欲と能力と組織体制」
が整った
「まともな企業」
である、とアピールすべきです。
違反事実が存在する疑いが濃厚な場合、早急に、第三者委員会を立ち上げ、外部から強制的な調査や過酷な処分が下される前に、自主的に事実を調べ、これに基づき、関係者のクビを差し出す、ということも考えておくべきでしょう。
以上の詳細は、ケース20:環境規制違反の疑いが発生!製造現場の声をうのみにするな!【今回の経営者・一坂社長への処方箋】をご覧ください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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