00655_企業の最大の苦手科目―「企業法務」

法律は、
「恐ろしく、不気味で、非常識で、倫理とか道徳とかあんまし関係なく、出鱈目で、クレイジーで、ロックンロールで、カタギには縁遠いもの」

という側面をもっています。

われわれ個人レベルでも、法律は苦手意識が先立ってしまいますが、
企業としてはどうなんでしょうか?

「企業法務」
というビジネス課題については、
取扱対象の広汎性、
ロジックの専門性等
から、取り組む以前の問題として、課題をどのように発見し、整理・分析すべきすらわからず、五里霧中の状態で途方に暮れる企業も少なくありません。

もちろん、書店等に行けば法務関連図書を多く見受けますが、民法、会社法、金融商品取引法といった各法体系に応じてドグマティックに整理されたものがほとんどで、法体系を横断し、ダイナミックに展開する現実のビジネス活動に適合した書籍はあまりみかけません。

例えば、
新しい製品を製造して販売するという事業を新たに構築する
という場合、
・原材料調達取引や製品販売取引に関しては民法・商法を参照し、
・新事業開始や工場建設の意思決定に関しては会社法を参照し、
・環境規制に関しては行政法・条例を、
・マーケティングに関しては景品表示法を、
・下請けとの関係構築は下請法を、
・その他企業間の関係(BtoB)規律については独占禁止法を、また、
・製品の販売方法(BtoC)については消費者契約法を、
と言った具合に
「法制定者の都合でビジネス活動とは無関係に、バラバラに存在する各法体系」
を個別に参照しなければならず、手間と時間が膨大にかかり、現実のビジネスの展開スピードに間に合わず、いわゆる
「漏れ」や「抜け」
が出てくる危険性が顕著に存在します。

こういった事情に加え、
収益獲得との関係の希薄さ、あるいは
課題発生の蓋然性の低さ(非定常性)
といった特殊性から、どの企業も
「企業法務については、興味・関心はあるが、どこから手をつけていいかわからない」
という形でついつい敬遠してしまいがちです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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