英米法(コモンロー)体系の国によっては、弁護士が依頼者から預かった文書についての絶対的な保秘権(attorney-client privilege)を有している場合があり、当該国で紛議に巻き込まれた場合、文書の保秘という点において絶大な威力を発揮します。
この点において、重要な文書は信用できる現地弁護士の保管とするか、コストが安ければ社内弁護士を雇用し、文書保管させることも考えるべきです。
例えばアメリカでは、E‐ディスカバリー制度によリデジタルデータの証拠開示も進められていますが、保秘権の活用により、開示から保護することが可能です。
この場合には、開示手続から保護されるべき情報を選別し、その情報のリスト(privilege log)を作成することで、不利な情報等の漏洩を防ぐことが可能となります。
さらに、このような特権の利用を試みる際には、メール等すべてについて漏れなく分類をしておかなければ、共通する話題についてのやりとり等について保秘権が放棄されたとみなされることにより、
「開示すべき」
と判断されるおそれがある点に注意が必要です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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