チームに必要なのは、まずトップです。
トップは、
「権限も成功した場合の成果も帰属する」
という意味で、また、何より、お山の大将として、リーダーとして、その他大勢のとしての皆にとって憧れの存在かもしれません。
しかし、
「正解も定石も不明なプロジェクトを推進するためのチーム」
のトップは、そんなポジティブなイメージだけでは務まりません。
「正解も定石も不明なプロジェクトを推進するためのチーム」
のトップの最も大きな役割は、
「失敗をした場合に恥をかき、自責・他責を含めて、想定外や不可抗力を含めて、全責任を負うサンドバッグ役」
というものです。
トップの仕事は、判断することと責任を取ることです。
「正解も定石も不明なプロジェクト」
については、判断する事項は非常に数多くあります。
状況認知における選択・判断、
状況解釈における選択・判断、
相場観採否における選択・判断、
ゴール設定(冒険的ゴール、保守的ゴール)における選択・判断、
課題抽出の範囲や想定限度における選択・判断、
プロコン評価における選択・判断、
行動選択における選択・判断、
成否見極めにおける選択・判断、
試行錯誤における選択・判断、
撤退見極めにおける選択・判断、
これらを、
「失敗をした場合に恥をかき、自責・他責を含めて、想定外や不可抗力を含めて、全責任を負うサンドバッグ役」
として、すべて自身の意思と決断で決めなければなりません。
いってみれば、延々と、丁半博打をしているような、精神が焼ききれるような、痺れる局面がいつ終わるとなく続きます。
有事(存立危機事態)のトップの経験のあるリーダーは、実感として理解できると思いますが、いいことはまったく何もない、責任とストレスとリスクだけが重くひしひしとのしかかる、散々な役回り、それがトップです。
もし、そんな悲惨な気持ちを実感していないトップがいるとしたら、それは、
取組課題が
「正解も定石も不明なプロジェクト」
でなく安穏として対処できる陳腐なルーティンか、
トップがきちんとした役割を果たしておらず、プロジェクトが壊滅的失敗に向かってまっしぐらに進んでいるか、
のいずれかです。
なお、トップは、1人です。
トップが何人もいたら、
「失敗をした場合に恥をかき、自責・他責を含めて、想定外や不可抗力を含めて、全責任を負うサンドバッグ役」
とのトップの本質的役割があいまいになりますし、軍隊であれ暴力団であれ、リスクの高い不確実性の大きい課題に挑む組織は、トップは必ず1人となっています。
トップが複数の組織は、見解の相違で組織がまとまらずにあっという間に全滅するか、想定外に直面したら内部分裂で組織が自滅するか、のいずれかです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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