00898_正解も定石も不明なプロジェクトを推進するためのチーム体制を整える5:実務遂行者(ソルジャー・下士官、作戦遂行者・現場責任者)

プロジェクト遂行現場において、現場参謀(管理系エリート、戦術担当、作業計画策定・統括)と対極に立つべき存在である、実務遂行者(ソルジャー・下士官、作戦遂行者・現場責任者)も絶対的に必要になります。

現場参謀は、戦略(ストラテジー)の実行や活動(アクティビティ)の遂行に責任をもち、この責任を果たすため、戦術(タスク)ないし行動計画(アクション・プラン)を策定します。

また、
「戦術レベルの創意工夫ではおよそ補えない、資源動員レベルの計画を変更しない限り解決できない、構造的行き詰まり」
に遭遇した場合、戦略の転換を求めて、参謀に打開を求めて戦略の変更や修正、ゲーム・チェンジを具申します。

これに対して、実務遂行者は、戦術(タスク)ないし行動計画(アクション・プラン)の遂行に責任を持ちます。

現場参謀が、ソロバンと段取りと冷めきった計算で諸事割り切るのに対して、実務遂行者に必要なのは、情熱と熱狂と忠誠心です。

組織の秩序を、現場参謀が描いたプランや計算ではなく、情熱とシンパシーによって、自律的に作り上げる存在であり、
「計画書という紙の上では存在しないはずなのに、実務・実践の現場では次々に現れる各種想定外やトラブル」
にも柔軟に対処し、危機を乗り越え、リスクに対処し、プロジェクトを軌道に乗せ、前にすすめていくのが、実務遂行者です。

とはいえ、兵隊だけのチームは、単なる烏合の衆となり、やはり目的は達成できません。

実務現場では、チームは、常に、目的合理性や経済性や合目的性よりも、卑近なチームの結束や現場の雰囲気こそが重視されます。

兵士だけで、管理するべきエリートがいなければ、目先の楽しいこと、刺激的なこと、やりがいのあることだけ、好き勝手にはじめてしまい、お祭り騒ぎとなって、暴走してしまいます。

この種の現場責任者は、現場を束ねる魅力や個性やパッションが必要ですが、他方で、
現場「責任者」
として役割を果たしてもらうためには、現場参謀の声にも耳を傾ける柔軟性や受容性も必要となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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