00899_正解も定石も不明なプロジェクトを推進するためのチーム体制を整える6:ゲームチェンジャー(秩序破壊型アドバイザー)

プロジェクトが、参謀が描いたとおりに展開し、所与の目的を達成できれば何も言うことはありません。

しかしながら、前提として、対処課題は、
「正解も定石も不明なプロジェクト」
です。

当然ながら一筋縄では行きません。

責任者(リーダー)も、参謀も、現場参謀も、実務遂行者も、いってみれば社内の人間であり、業界の人間であり、既存秩序に生息してきた人間です。

参謀がいろいろ考えを巡らすにしても、思考や想像力や創造力の限界もあります。

何せ課題前提が
「正解も定石も不明なプロジェクト」
ですから、すぐにプロジェクトがスタックしてしまうことがしょっちゅうです。

そんなとき、ゲーム・チェンジが必要になります。

ロジックやフェーズやプレーヤーやプレースタイルを入れ替えるだけで対処できればいいのですが、根源的なゲーム構造や前提環境を見直すことまで必要になる場合があります。

そんなとき、必要な外部知的資源として、既存の秩序を否定し、愚弄し、引っ掻き回し、こき下ろすような、エイリアンのような存在が必要になります。

すなわち、自社や業界に生息せず、社内や業界に生息する人間とはまったく違う価値観や生き方をしてきて、責任者(リーダー)に媚びず、臆せず、既存の権威やシステムや価値観を全否定し、新たな着眼点やブレイクスルーアイデアを提示してくれる人間です。

また、ゲーム・チェンジャーは、社外や業界外との集団とも自由に往来でき、斬新な外交アイデア、ジョイント・ベンチャー、ホワイトナイトの招聘、M&Aも提案し、推進する役割を担います。

このゲーム・チェンジャーは、既存秩序の生息者にとっては、鼻つまみ者・嫌われ者であり、トラブル・メーカーであり、絶対必要というより、平時は有害な存在です。

しかし、プロジェクトがスタックし、ゲーム・チェンジが必要になったとき、大きな成果を生み出すきっかけを演出する存在です。

もちろん、単なる破壊者というだけではこの役割は務まりません。

鼻つまみ者・嫌われ者であっても、チームに対するシンパシーがあり、チームに貢献し、あるいはチームの危機を救いたいという情熱や倫理が前提として必要です。

最近トレンドとなっている経営キーワードでは、ダイバーシティ(多様性)や社外取締役といったものと関連する。

要するに、
「正解も定石もない経営を舵取りするときに、耳の痛いことを聞かせ、見たくない現実もしっかりとみせてくれ、問題解決に協力してくれる、多様な価値観を提供する人材や外部の知的資源」
が、どの企業も
「ゴーイング・コンサーン(企業の永遠の存続)という、正解も定石も不明なプロジェクト推進のため必要資源」
として認識している、ということです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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