00900_正解も定石も不明なプロジェクトを推進するためのチーム体制を整える7:チームビルディング(人的リソースの組み合わせと活用のための営み)

役割分担設計において、各種役割を担えるスキルを有する有能な人間がただ集まっていても、チームとして機能するわけではありません。

烏合の衆を、組織的・有機的な機能集団として活動させるためには、チームビルディングという営みを意図的・意識的に行う必要があります。

もちろん、ロマンだけでなく、ソロバンも必要です。

経済的メリットや社会的メリット等、欲を刺激して、士気を高める工夫も必要です。

ですが、その大前提として、
コトバが通じる、
ハナシが通じる、
ココロ(気持ち)が通じる、
といった「集団構成における意識共有基盤」ともいうべきものがないとチームは瓦解するか、少なくともサステナブルに集団秩序を保つことはできません。

ましてや、前提環境としてチームに立ちはだかる対処課題は、
「正解も定石も不明なプロジェクト」
であり、
「集団構成における意識共有基盤」
があってもなお、タフな状況と内部抗争の火種が常に蔓延し、チーム瓦解による失敗の可能性が限りなく高い過酷なタスクです。

コトバが通じる、ハナシが通じる、ココロ(気持ち)が通じる、というのは平たく言えば、
「倫理性、価値観、哲学、美意識」
といったものが共有できるか、です。

気持ちを偽るヒト、
他人に嘘をつくヒト、
自分にも嘘をついているヒト、
気持ちをミエル化・カタチ化・言語化できないヒト、
コミュニケーションの価値を認めないヒト、
約束や決まりごとを無視・軽視するヒト、
など。

「他人に嘘をつくヒト」
「自分にも嘘をついているヒト」
ですが、生来邪悪な詐欺師や嘘つきで、犯罪者予備軍やサイコパスのような存在ばかりではありません。

プライドが高く、自己保存が強く、負けを認められず、責任転嫁し、八つ当たりし、あり得ない弁解をしたり、知ったかぶりをしたり、逆ギレしたり、というのも
「他人に嘘をつくヒト」
「自分にも嘘をついているヒト」
の亜種といえますし、キャリアやスキルが高くても、あるいは、ホニャララ士や、チョメチョメ専門家や、教授や、官僚OBであっても、この手のタイプは結構な割合で紛れています(「先生と言われるほどの馬鹿でなし」という言葉があるように、先生と呼ばれるようなタイプは、むしろ、「プライドが高く、自己保存が強く、負けを認められず、責任転嫁し、八つ当たりし、あり得ない弁解をしたり、知ったかぶりをしたり、逆ギレ」するタイプが傾向的に多いのかもしれません)。

こうした、スペックは一定程度保有していても、
「コトバが通じないヒト、ハナシが通じないヒト、ココロが通じないヒト」

「約束や決まり事を破る行為や美意識・哲学の面で他のメンバーから容認しえない事件や行動」が1人ないし1つ存在すれば、もはや、チームは内部から崩壊します。

特に、
「正解も定石も不明なプロジェクト」
では、内部のストレスが高まり、ともすれば、失敗の雰囲気が漂い、厭戦気分や士気の低下、さらに犯人探しや戦犯追求、責任のなすりつけ合いといった、内部崩壊のリスクが恒常的に高くなります。

些細なミスやエラーや漏れや抜けでチームが安易に瓦解しないようにするためにも、チーム内における、信頼関係と倫理や価値観の共有がチームビルディングのために必要となります。

もちろん、パッションや忠誠心やロマンだけではこれも脆弱であり、しっかりとソロバンが働くようなご褒美や報酬やインセンティブがあってのチームビルディングです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです