00938_企業法務ケーススタディ(No.0258):外国への製品輸出時の注意点

本ケーススタディーは、事例及び解説の概要・骨子に限定して要約・再構成したものです。
詳細をご覧になりたい方は、「会社法務A2Z」誌 2011年月5号(4月25日発売号)に掲載されました連載ケース・スタディー「鐵丸先生の 生兵法務(なまびょうほうむ)は大怪我のもと!」三十の巻(第30回)「外国への製品輸出時の注意点」をご覧ください。

当方:
脇甘(ワキアマ)商事株式会社 社長 脇甘 満寿留(わきあま みする)
同社法務部 部長 執高 鰤男(しったか ぶりお)

相手方:
中国 軍民別足利(グンミンベッタリ)公司 社長 毛 沢山(モウ タクサン)

外国への製品輸出時の注意点:
当社は、中国の会社にゴルフクラブを卸す契約が締結する運びとなりました。
相手会社については、しっかり身元調査をしましたし、軍隊との取引があるくらいですから、問題はないようです。

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点1:安全保障貿易管理
安全保障貿易管理とは、国際的な平和と安全保障の維持の観点から、大量破壊兵器等の拡散防止や通常兵器の過剰な蓄積を防止するために、厳格な輸出管理を行うことを目的とするもので、日本では、
「外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」)」
に基づき、次のように規制されています。
1.リスト規制
武器、原子力、生物・化学兵器、ミサイル、先端素材、通信機器など
(1)鉄砲、ロケット、弾薬など、「武器・兵器」そのもの
(2)暗号装置、集積回路、水中用カメラなど、「兵器、またはその一部になりそうな高い性能を持つ汎用品」
(3)電話吸収材、凍結乾燥器、粉末状の金属燃料など、「兵器の開発などにも利用できる高い性能を持つ汎用品」
2.キャッチオール規制
リスト規制に該当するもの以外で、用途やそれを使用する者によっては、大量破壊兵器などの製造・開発に用いられる可能性がある貨物

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点2:「キャッチオール規制」の該当性
キャッチオール規制に該当するかどうかは、
「客観要件」
を判断する必要があります。
1.用途性の要件
(1)核兵器、ロケットなどの開発用か
(2)原子炉、核燃料、化学物質、微生物関連の開発用か
(3)国際連合が定めた後記「国連武器禁輸国・地域」への輸出を希望する場合であって、且つ輸出先が通常兵器などの開発などに使用するためか
2.需要者の要件
輸出された貨物などを受け取る人、企業、団体や、最終的に当該貨物などを使用する者が、過去に大量破壊兵器の開発などを行っている、又は行ったことがあるか、輸出先の属性

本相談を検討する際の考慮すべき法律上の問題点3:「キャッチオール規制」判断のポイント
輸出しようとする貨物などが
「キャッチオール規制」
に該当するかどうかにの判断に困った場合、最も良い方法は、輸出前に、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課(http://www.meti.go.jp/policy/anpo/)に問い合わせ、事前に個別の相談を行うことです。
また、会社内でも、以下のポイントを中心に事前のチェックをすることで、ある程度の目安を得ることができます。
1.HSコードの確認
輸出しようとする貨物のHSコードの上2桁が、輸出貿易管理令別表1の16項列挙の貨物に該当するかどうかを確認します。
(1)該当する場合は、下記2に該当するかどうかをチェック
(2)該当しない場合は、許可申請は不要
2.輸出先国が「ホワイト国」に該当するか
輸出先国が輸出貿易管理令別表第3に列挙された国々(オーストラリア、韓国、カナダ、スイス、英国、アメリカ合衆国等)に該当するかを確認します。
(1)該当する場合は、許可申請は不要
(2)該当しない場合は、下記3に該当するかどうかをチェック
3.「用途性の要件」の確認
取引に際し、事前に輸出先から入手した文書の記載内容や口頭での連絡内容などから用途を確認します。
(1)該当する場合は、許可申請が必要
(2)該当しない場合は、下記4に該当するかどうかをチェック
4.「需要者の要件」の確認
取引に際し、事前に輸出先から入手した文書や、経済産業省が作成する「外国ユーザーリスト」から輸出先の属性を確認します。
(1)該当する場合は、一部の例外を除き許可申請が必要
(2)該当しない場合は、許可申請は不要
なお、事前の個別相談を行うことが絶対に必要になります。
設例の場合、輸出貿易管理令別表1の16項(一)3
「有機繊維、炭素繊維又は無機繊維」
に該当します。

助言のポイント
1.輸出品の中には、安全保障貿易管理上の「事前許可」が必要となる貨物がある。
2.安全保障貿易管理規制の根拠法令は「外為法」で所轄官庁は経済産業省となっており、複雑怪奇な構造になっているから、きちんと認識整理をしておこう。
3.「リスト規制」に該当しなくても、輸出先から入手した文書、会話の中などから、必ず、輸出品の「用途」を確認が必要。
4.常に、「外国ユーザーリスト」を確認するなどして、輸出先の属性を確認しよう。
5.判断に迷ったら、勝手に結論を出さずに、この辺りの規制に明るい専門家か所轄官庁に事前の相談しよう。くれぐれも「常識の判断」は禁物。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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