1 知人とベンチャー企業を立ち上げる
最も多い持株割合は、等分(50%50%、1/3ずつ等)です。
成功しても、失敗しても、大抵モメます。
成功したら成功したで、
・俺のネタがよかったからだ
・俺が場を探してやったからだ
・俺が営業がんばったからだ
と、モメます。
失敗したら失敗したで、
・お前が悪い
・お前が金を渋ったからだ
・お前が働かないからだ
と、モメます。
そもそも、ビジネスは困難の連続です。
ましてや、立ち上げ時期は、異常事態の連続で、一番厳しく、しかも、スピードが大事な時期です。
経営についての方針・意思決定がまとまらない場合は、過半数で決まります。
過半数とは、「半数」+「過」
半数を超えなければなりません。
等分だと、ニッチもサッチもいかないのです。
みんなで、あれやこれやと話し合っているうちに、状況が激変し、ビジネスがうまくいかなくなります。
効率的にスピーディにものごとを決めるためには、
「一人株主」
で、スピーディに、効率的に処理をしていくことです。
どうしても金を出したい、と助けてもらうのなら、何も株主になってもらう必要はありません。
議決権のない株式を渡せばいいだけのこと。
金を出してもらっても口を出させないことです。
「誰がボスか」
はっきりさせることです。
2 ジョイントベンチャーの場合
アライアンスを結ぶには、
・資本を提携するのか
・業務なのか
・商品生産なのか
・物流なのか
・販売なのか
その提携形態を決めなければなりません。
取り決めは複雑で多岐にわたります。
飲み会の割り勘じゃないのですから、等分にしても、いいことは何一つありません。
むしろ、その調整のために、無駄な時間を費やすことになります。
「最終的に、どのように着地させるか」
ここでも、過半数が必要となります。
そのためには、どちらかがどちらかの株を買い取ることになります。
・その値段はどうするのか
・最初の値なのか
・うまくいったときの値なのか
ここでも、モメます。
ジョイントベンチャーの場合は、
「調整する時間とコストとエネルギーが見合うだけのプロフィットが見込めるか」
をみきわめてから、一緒にやるかどうかを決めましょう。
3 従業員に株を配る
従業員に株を配る人がいます。
会社が大きくなったとき、その従業員が会社を辞めて出ていくとき、とんでもない金額をふっかけてくることがあります。
「なぜその従業員に株を渡したのか?」
と聞くと、
「何となく」
「友達だから、仲のいい証として」
と、かえってくることがほとんどです。
想像してみてください。
その従業員が辞めて、3~4年後、連絡先がわからなくなることがあるのですよ。
株主総会を開いても、議事録に(その辞めた従業員の)印が押せないのですよ。
適当に三文判を押すと、偽造になるのです。
そして、いざ、モメたら、
・株主総会開いていませんね
・この印は偽造ですよね
と、裁判がはじまり、膨大な時間とお金と手間を費消させることになるのです。
借金だったら、返せばいいのでしょうが、株式を勝手に動かすことはできません。
ニッチもサッチもいかなくなり、泥沼です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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