01050_従業員が退職するに際して徴求すべき守秘義務誓約書(差し入れ念書型)サンプル

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(退職日)      年  月  日

株式会社             御中

守秘義務誓約書

私は、貴社を退職するに当たり、下記の各事項のすべてを厳格に遵守することを約束し、その証としてこの「守秘義務誓約書」(以下、「誓約書」といいます)を差し入れます。

  1. 私は、貴社に対して、「貴社に関する次の各情報(以下、「本件機密」といいます)は、私が作成したものや私の記憶に内在するものも含めて、全て貴社に固有のものであり、私は何らの使用しあるいは利用・譲渡等する権利を持たないこと」を厳に確認します。
    • 事業資料及び財務資料:事業計画書、事業提案書、営業計画書、営業企画書、財務諸表及び経理資料、人事等に関する情報(従業員の地位、職責、住所、電話番号等の個人情報を当然に含むがこれに限らない)
    • 価格情報:製品の原価情報、原価計算情報、販売価格・卸価格情報、リベート(値引き)に関する情報その他価格情報並びに価格決定に関する情報一切
    • コンピュータソフト及びデジタルデータ:各種コンピュータソフトウェア(カスタマイズあるいは開発されたものやこれらの途上のものも含む)及びこれらの運用によって作成ないし整理されたデータ
    • 顧客情報:現顧客・潜在顧客を問わず、顧客情報、顧客リスト及び顧客に関連する情報一切
    • 協力会社情報:貴社あるいは弁護士法人の取引先ないし提携先の、存在、呼称・連絡先あるいはこれらの会社との契約内容・取引内容、技術援助、外部委託関係及びこれらに関連する一切の情報
    • 製法等:事業モデルに関する情報、製品設計に関する情報、製品の原材料、製品製造手法、製品製造工程、製品コンセプト、製品企画、製法マニュアル・使用マニュアル類、その他製品ないし販売方法に関する全てのノウハウ及び情報一切
    • 実験結果:貴社在職中に行った実験、分析により得たデータや、他製品(試作品や部品を含む)開発過程で得たデータ
    • 以上の他、私が、貴社在職中に、知り得た貴社に関する情報一切
  2. 私は、「在職中及び雇用関係終了後、本件機密が機密としての価値を法律上のみならず事実上・経済上も完全に喪失するまで」あるいは「在職中及び雇用関係終了後20年間」のいずれか長い期間、貴社の書面による了解なく、第三者に対して開示、漏洩または直接・間接問わず、第三者の使用に供しないことをお約束します。
  3. 私は、貴社の書面による了解なく、本件機密ないしこれらを格納あるいは表章した媒体(書類、カセットテープ、ビデオテープ、フィルム、フロッピーディスク、CD、DVD、USBメモリ、ポータブルハードディスク等一切。)を貴社オフィスや事業所から移動せず、また、本件機密のデータを格納したクラウドからデータの全部または一部を移動し、複製しあるいは編集等しないことをお約束いたします。なお、当然のことながら、私は、本件機密を私用メールアカウントに添付送信する形にてもしくは私的クラウドに移動ないし複製を移動する形にて、当該メールアカウントのメールサーバ内や私的クラウド内、あるいは当該メールを受信した端末内の記憶装置に留め置くこと等も一切いたしません(以下、前記各媒体や私用メールアカウント添付送信の方法等にて本件機密が格納された場合における当該メールサーバや私的クラウドやメール受信端末の記憶装置を「本件機密格納媒体」といいます)。
  4. 私は、本件機密格納媒体のうち、貴社在職中に私が保有を命じられあるいは保有を容認されたものは、全て私が責任をもって保管し、私と貴社との雇用関係終了時にはこれらの全ての機密情報ないし媒体を貴社に対して返還ないし消去すること(本件機密格納媒体のうち、後任者に引継を要するものは、貴社の指定する引継方法を了した上で返還すること)をお約束いたします。
  5. 私は、貴社在職中において私が主体となりあるいは私が創作ないし発明等に関わった一切の知的財産権等については、職務発明ないし職務著作等として、貴社にのみ排他的に帰属することに異議なく同意します。なお、職務発明に関しては、貴社の職務発明に関する譲渡及び対価算定に関する規定を合理的なものとして受け入れ、これを事後争いません。また、私が、創作ないし発明等にかかわった著作について、私に著作者人格権が生じたとしても、これを一切行使しないことを厳にお約束申し上げます。
  6. 職務発明に関してあらかじめ貴社に譲渡することに合意する関係上、私は、本件機密に関して生じあるいは生じるべき一切の知的財産権は貴社にのみ排他的に帰属することを認め、これを事後一切争いません。
  7. この誓約書からまたは誓約書に関連して、私と貴社の間に生ずることがあるすべての紛争、論争または意見の相違は、社団法人日本商事仲裁協会の商事仲裁規則に従って同協会の選定にかかる弁護士資格ある仲裁人を双方合意選定にかかる仲裁人として、東京都内において、非公開仲裁手続により最終的に解決することに合意します。私は、かかる仲裁人によりなされた判断は最終的であり、私と貴社を拘束するものとすることを理解し、かかる判断にしたがい、争いません。私は、仲裁人の行った判断に従い、異議を述べないものとし、また、仲裁人が仲裁判断をなすに当たり、私あるいは貴社を審尋せず、また理由の付記を省略しても異議を述べないものとすることに合意します。なお、本仲裁合意に基づく当然の法的効果として、私は貴社に訴訟提起をしないことを約するとともに、仮に私が訴訟を提起したとしても本仲裁合意が防訴抗弁となり、訴訟が当然に却下されるべきことを異議なく確認します。

以上

以上の誓約の証として、本日、本書一通を貴社に差し入れます。

                          住所

                          氏名                                    ㊞
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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