01065_法務組織の体制構築>企業法務活動を担うハードウェア>(3)監視・監督・監査を行う代表取締役以外の法定諸機関

企業における意思決定や運営の合法性を確保する役割を担うものとして、取締役ないし取締役会、監査役ないし監査役会、委員会設置会社における監査委員会、少数株主といった会社法上の諸機関が存在します。

これら諸機関が、会社経営の合法性を確保するために稼働する場合、当該活動は法務的色彩を帯びることとなります。

もちろん、企業法務部門としても、法務活動に関わる場面が出てきます。

すなわち、監査役や取締役会等が会社運営の合法性をチェックするプロセスにおいて、当該機関からの要請に基づき、企業法務としてこれらに対して法的助言や監視・監督・監査業務遂行の支援を行う場合があります。

日本においては、長らく代表取締役と取締役会とは一体のものと考えられていました。

ところが、富士通において、2009年9月に辞任した扱いになっていた元社長が、2010年3月になって
「虚偽の理由に基づき、取締役会において辞任を迫られたが、当該辞任は法律上瑕疵がある」
として、辞任取消しを求める事件が発生しました。

また、時計メーカーのセイコーホールディングスにおいても、子会社の労働組合が経営陣に株主代表訴訟の前提としての提訴要求通知を出したことが発端となって、セイコー取締役会がセイコーと和光の経営トップを解任する事件が発生しています。

このように、日本においても、取締役会や監査役が、法務・コンプライアンス上重要な機能を担う場面が登場するようになっており、したがって、経営トップ以外の会社法上の諸機関も
「重要な法務・コンプライアンス遂行組織」
と認識されるべきです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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