01105_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別>中小企業>債権回収分野その1

非上場企業・中小企業における戦略法務については、債権回収(動産先取特権や物上代位)、請求に対する抗弁(相殺、時効、危険負担法の援用)、行政争訟(不当な行政指導や処分への対抗)、税務(節税・租税回避)、破産・再生(DIP型会社更生)といった分野で展開されます。

その実践においては、法の盲点や解釈運用上の不備を効果的に利用しながら、競争優位、交渉優位の状況を創出していくことになりますから、
「競争相手や、競合する債権者や、許認可を所掌する行政当局や、税務当局等を潜在的なカウンターパーティーとした“知恵比べ”」
といった色彩を強く帯びることになります。

1 動産売買先取特権

動産売買の先取特権とは、
「商品などの動産を売った者は、その動産の代金の対価について、その動産から、他の債権者に優先して弁済を受けられる」
という法定の担保権です。

この担保権は、動産を売った相手に対して、担保についての契約・登記等をすることなく行使することができるため、大変使い勝手の良いものです。

商品を売ったにもかかわらず代金が支払われないときには、その商品について動産競売の申立てが可能であり、競売代金から配当を受けることができます。

また、買主がすでにその商品を第三者に売却してしまっていたときには、その転売代金を差し押さえることも可能です。

2 物上代位

例えば、担保権者として建物に抵当権を設定していたにもかかわらず、建物が地震や火事で焼失してしまったような場合には、抵当権の対象がなくなってしまうため、抵当権も消滅してしまうのが原則であり、担保権者は担保を失い、被担保債権は無価値化してしまいます。

しかし、このような状況においても、抵当権の通有性である
「物上代位性」
を利用した法務戦略により担保価値を取り戻すことが可能です。

抵当権は、目的物の
「価値を把握する権利」
であるため、例えば目的物が形を変えた場合にはその
「形を代えたもの」
に対しても権利が行使できます。

これを
「物上代位」
といいます。

そして、建物に火災保険がついていた場合には、火災で担保物件が焼失したときに、建物の価値が保険金に形を変えると考えることで、物上代位権を行使し、被担保債権の回収を図ることができます(民法372条、304条)。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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