01108_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別>中小企業>行政争訟

許認可権や行政処分等の強制力を有する行政庁からの不当な措置や承服できない対応に対して、企業として、戦略的に対応する場合があります。

特に、行政サイドが、法的根拠が希薄な状態で強硬な対応をする場合や、行政指導のように任意とも強制とも判断しかねるような対応によって企業を従わせるような場合には、法的知見を最大限戦略的に活用して、不当な措置に対抗し、企業側の権利・利益を防衛すべき場合があります。

1 適正手続に違反する行政上の措置に対する対抗

憲法31条は、適正手続を保障しています。

この条文は、アメリカ合衆国憲法の
「法の適正手続」(due process of law)
に由来し、条文上は
「手続の法定」
だけが要求されているようにも見えますが、実際に
「手続が適正であること」
も保障されると解されています。

そして適正手続の保障は、刑事手続のみならず、行政手続にも及ぶべきものと解されています(成田新法事件、最高裁大法廷平成4年7月1日判決)。

しかしながら、実際の行政運営の場では、往々にして適正とはいい難い、一方的で強硬な手続により、企業側の正当な権利を侵害する場合があります。

そうした場合、相手が行政当局であっても、企業法務サイド(法務セクションや顧問弁護士)としては、行政当局側の非違を徹底して指摘し、最終的には国家賠償請求訴訟等まで視野に入れつつ、強硬に対抗していくことになります。

2 不当な行政指導等に対する対抗措置

行政側が、強制力を働かせるだけの法的根拠を有さない場合や、
「強制力を働かせる法的根拠はあるが、四囲の状況や時機からみて強制することが不適当と判断する」
ような場合、往々にして、任意とも強制ともつかない行政指導というファジーな手法によって行政目的を達成しようとすることがあります。

これに応じることによって、企業側の権利や利益が侵害され、爾後法的に争う権利や機会も奪われるような場合には、憲法31条や行政手続法の知見を用いて、行政指導を拒否し、さらなるしつこい慫慂を排除するような対抗措置を取っていくことになります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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