01109_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別>中小企業>税務分野

税務における租税回避行為も、企業が展開する戦略法務の1つです。

租税回避行為とは、通常用いられる法形式とは違う異常な法形式をあえて選択することで、結果的には、通常の法形式を選択した場合とほぼ同一の経済的効果を実現しているにもかかわらず、通常の法形式を選択した場合に課されるべき税負担を軽減ないし排除することを指します。

シンプルにいいますと、
「法の予定しない税負担減少行為」
です(法の予定する税負担減少行為は「節税」、法に違反した税負担減少行為は「脱税」と整理されます)。

消費者金融大手のオーナー一族が、
「当時海外に『住所』のある日本人が国外資産を贈与されても非課税扱いとされていた」
ことを利用し(その後、2000年法改正で課税措置が採られるようになりました)、創業者の子弟を、1年の約3分の2程度の期間を香港で過ごさせることで、
「住所は海外にある」
という状況を作り出し、税負担なく贈与を実施し、生前の資産承継を行いました。

課税当局は、租税回避意図による住所移転の不当性を指摘して、
「住所はいまだ日本にある」
とみなし、課税処分を行いました。

しかし、最高裁は
「住所」
の実体は、租税回避意図の有無ではなく、客観的・常識的に判断すべきであり、当該子弟は
「日本国内に住居がなかった」
との判断を示し、課税処分を違法とし、当局側に対して約2000億円の贈与税還付を命じました。

このほか、企業は、税法の不備を探し出し、様々な創意工夫によって、違法とならない範囲において、節税や租税回避行為を実践しますが、これらは税務における戦略法務の実施と捉えられます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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