01139_有事対応フェーズ>法務活動・フェーズ4>民商事争訟法務(フェーズ4A)>(4)対応のポイント>裁判官に書面を読んでもらうための工夫

訴訟においては、訴状、答弁書、準備書面という形で訴訟の進行に応じて様々な書類を裁判所に提出します。

法律家は、複雑な事象を難解に表現した大量の文書に常に接しているため、速読に長けており、裁判官も例外ではありません。

ですが、
「速読に長けたスーパーマン」
である裁判官といえども、仕事として義務感で遂行するからこそ複雑な事象を難解に表現した大量の文書を読むことをするわけで、このような文書を長時間読まされることが苦痛なことには変わりありません。

訴訟事件というのは、過ぎ去ってしまったことを、不明確な記憶や、曖味な証言、決定的ではない資料を頼りに、相互の主張が食い違う事実の存否を言い争うものであり、事件に利害のない裁判官にとっては当該事件の書類には
「関心も興味もないことが大量に書いてある」
と映ります。

裁判官にとって、
「自分に関心も興味もない、つまらないことが延々書いてある長文」
を読めというのは、上記のとおり非常な苦行であり、紛争当事者やその代理人が裁判官に求めていることは要するにそういうことです。

裁判官はお客様、お客様は神様
であり、
「『訴訟において言い分を書いた書面を提出するということ』は、『尊い神様に苦行を強いている』のと同じである」
ということですので、
「『自己の事実認識』という競合商品を売り込むセールスマン」
である弁護士としては、神様・お客様とも擬すべき裁判官を、少しでも苦行や負担から解放させてあげるよう努めることが必要となります。

要するに、
「言いたいことを、言いたいだけ、言いたいように書きつらねる」
という書面作成方針は、
「神様・お客様」
である裁判官の印象を非常に悪くするわけであり、後日、
「崇り・注文見合せ」
ならぬ
「敗訴判決」
が下されることになります。

逆に、少しでも楽に読んでもらうため、提出文書に工夫や配慮をしておくと、心証獲得面でよい結果が出る可能性につながります。

訴訟弁護士は、裁判に勝つため、あるいは和解交渉を有利に進める環境を作るため、それぞれ独自の方法で、提出書面に
「読ませる工夫」
をしているようですが、筆者が裁判所提出書面作成上、注意しているポイントをいくつか紹介します【01140】【01141】【01142】【01143】 。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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