01143_有事対応フェーズ>法務活動・フェーズ4>民商事争訟法務(フェーズ4A)>(4)対応のポイント>裁判官に書面を読んでもらうための工夫>主張設計の方法

事実を述べる際には、
「具体的な事実を、客観性がある形で、あるいは相手が争いようのない形で呈示」
していくと、裁判官としては非常に事案を認識しやすい、ということになります。

明らかに相手が否定するであろう事実をことさらに挑発するような形で主張することは、紛糾の原因になるだけで、時間とエネルギーの無駄ですし、裁判官もあまり良い印象を持ってくれなくなります。

訴訟上の重要な争点は別として、言い分を述べていくときには、客観的証拠(公的な文書や相手の自認文書)が残っている事実や相手が認めざるをえない事実を丁寧に拾いながら、客観性を保ちつつ文書として構築していくと、無用な紛糾が避けられますし、裁判官も審理を進めやすくなり、歓迎されます。

この点で一番効果的なのは、相手方作成の文書の相手方が自認している事実を巧みに引用しながら、全体として相手方が認めない結論を導き出すというもので、日常生活では
「揚げ足取り」
等と呼ばれる方法です。

すなわち、空手において拳を相手に向けて押し出すような形で、自己の主張を威嚇しながら声高に叫んでみたところで、相手は反発するだけで
「そんなの所詮あなたが勝手に言っている事実であって、私の認識とは違う」
と言われるだけです。

ところが、合気道において相手の攻撃してきた手をつかんで相手の勢いをそのまま利用しながら攻撃を加えるが如く、
「相手が認めている事実や相手も争いようのない客観的な事実を拾い出し、合理的なロジックを使いながら、自分の誘導したい結論を導く方法」
は、相手としても応戦しにくくなる上、
「ロジックの合理性だけを検証すれば足りるので、審理が全体的に効率化される」
という点において、裁判所にとっても歓迎されます。

とはいえ、詭弁ともいえるような無茶なロジックを多用し過ぎると、かえって紛糾が拡大し、裁判所から嫌われます。

揚げ足取りを行う際は、
「裁判所も納得するような穏当にみえるロジック」
を用いて主張を構築することが必要です。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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