01150_有事対応フェーズ>法務活動・フェーズ4>不祥事等対応法務(フェーズ4B)>(5)有事対策チームの組成・運用その2

3 社外人材の活用

一定の不祥事状態を認識した後、経営陣が不作為のまま放置してしまったり、隠蔽のためにアナウンスや対応を遅らせたりすることもありますが、これを防止するようなシステムも必要となってきます。

しかし、結局のところ、これは社外の人材からの直言によるしかありません。

この意味において、危機管理委員会等の有事対策チームの最高意思決定機関には、視野狭窄に陥ることなく、冷静かつ客観的に状況を分析し、社会的視点から効果的な対応をスピーディーに構築できる外部のアドバイザーを入れておくことが望ましいと思われます。

外部のアドバイザーは、社内の政治的圧力に屈することなく、事実を正確かつ公平に評価・認識を行う責務を負うことから、法律や危機管理の専門性をもつ独立した知識人であることが必要であり、この点から、弁護士や会計士等が就任するケースが多く見受けられます。

以上のような専門性や知性も必要ですが、有事対応を実施する外部アドバイザーは、社会常識という点から事態を客観的に認識することのできる
「常識人」
であることが必要です。

また、助言を仰ぐべき外部のアドバイザーを高給でつなぎとめると、金銭的利害のため、独立性を失い、直言を憚ることもありうることも考慮に入れておくべきです。

4 弁護士の人選

不祥事等法務活動において参与させるべき弁護士は必ず裁判対応に長けた者を含める必要があります。

企業法務を中心に取り扱う法律事務所の中には、契約法務(取引法務)や戦略法務(企画型法務)のみ専門的に取り扱い、法廷経験がゼロあるいは極めて乏しい弁護士が少なからず在籍している場合があります。

そのような場合、きちんと訴訟実務経験を照会するとともに、必要に応じて訴訟部門の弁護士も、訴訟提起以前から関与させ、将来起こりうべき訴訟への対応も視野に入れた有事対応を行うべきです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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