企業経営を進める上で、ヒトという経営資源の調達・運用に関し、意識・遵守すべき法律をみていきます。
1 労働契約に関する法令
まず、労働契約に関するものとして民法(雇用)とその特別法たる労働契約法が、労働条件の最低限を定めた取締法規として労働基準法、最低賃金法、家内労働法等があります。
次に、労働者が団体を結成して企業と対抗できる権利について定めた憲法28条と労働組合法があります。
2 労働災害に関する法令
労働災害に関し、まず予防面として、企業に対して職場における災害防止のための措置を命じた労働安全衛生法があります。
事故が発生した場合におけるルールとしては、民法(安全配慮義務の債務不履行責任)や労働者災害補償保険法があります。
3 公益通報に関する法令
企業に内部通報制度の設置を求め、また、企業不祥事の存在を認知した従業員が企業外部の監督行政機関や報道機関に不祥事を通知する行為(内部告発)を保護するものとして、公益通報者保護法があります。
4 企業再編における法令
特殊な状況におけるものとしては、企業再編・グループ再編の戦略として会社分割が実施された場合における労働契約の承継のルールを定めたものとして、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)があります。
5 差別防止に関する法令
雇用の場面における男女差別、年齢差別、障害者差別等を解消しようとするための法律として、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称「男女雇用機会均等法」)、男女共同参画社会基本法、高年齢者雇用安定法、障害者の雇用の促進等に関する法律 (通称「障害者雇用促進法」)があります。
6 保険に関する法令
社会保険制度において企業が一定の役割を担うことになっている関係で、社会保険に関する法律、健康保険法、国民健康保険法、確定拠出年金法、確定給付企業年金法等も、企業法務活動に際し把握しておくべき法律です。
労働契約に関する民事紛争に関しては、通常の民事訴訟(仮処分等を含む)のほか、労働審判法に基づき、労働審判という特別な手続による解決が可能となっています。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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