01215_労働法務>経営資源としての「ヒト」の調達・活用に関する法務課題>労働法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>特徴とポイント>労働法違反による行政事件・刑事事件

労働法務の問題には、

・私人である企業と労働者の契約に関わるものと(労働契約の問題)
・国が罰則等を背景に企業に遵守を強制する労働取締法規のコンプライアンスに関わる問題(労働取締法令コンプライアンスの問題)
・両者が混合した問題(労働契約問題・労働取締法令コンプライアンス問題ハイブリッド型問題)

の3つがあります。

もちろん、懲戒処分の有効性や解雇理由の有無・解雇権濫用等については労働契約の問題といえますし、例えば労働安全衛生法違反や労災隠しのような問題は労働取締法令遵守の問題といえます。

ところが、残業代不払いに関しては、一面では残業代支払義務の存否を巡る労働契約の問題といえますが、他方では所定の労働協約(いわゆる36協定)を締結することなく法定労働時間を超えて残業させたような場合には労働基準法36条違反の問題が生じ、また法的に明らかに発生したと考えられる残業代の支払いを拒否した場合には賃金全額払原則違反(労働基準法24条違反)となり、労働取締法令遵守の問題も同時に発生します。

契約問題・取締法令遵守問題ハイブリッド型問題については、労働基準監督署の指導や勧告を
「民事問題に介入する単なるおせっかい」
と軽く考えて、いい加減な対応をし、最後に監督行政機関の激怒を買って刑事事件に発展する、という経過をたどる場合もあります。

行政が純然たる民事問題に過ぎない労働契約の問題に介入してきた場合、
「大きなお世話」
と一蹴したところで何ら不都合はないのですが、一見、労働契約の問題のようにみえて、労働取締法令遵守の問題もはらむ問題の場合、労働基準監督署その他監督行政機関の指導には適正に対応しないと思わぬところで足を掬われることにつながるので注意が必要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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