01229_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>調達・製造法務(フェーズ1)>アセスメント・環境整備フェーズ>法令管理その2

調達・製造法務には、環境規制、製品規制、表示規制、リコール関係法令等、実に細かい法令が規制環境として存在します。

行政側においても所管する部門が規制ごとに異なるため、規制アップデートや監督行政機関の規制運用姿勢なども含め、漏れなく対応するためには相当なエネルギーを要します。

企業によっては、各法令の細かいフォローまで手が回っておらず、当初の届出等については行政書士やコンサルタントに丸投げにし、日常の運用は全て現場責任者に任せきり(あるいは丸投げ)にしているところも多いと思いますが、これは大変危険です。

これら法令のコンプライアンスを、
「単なる書類上の事務処理で、細かいところまでフォローしなくても軽微な手続違反」
と考えていると、思わぬところで足を掬われます。

そもそも、
「モノ」
の調達・製造の現場においては、
「ラインの効率的稼働」
「物資の安価で安定的・効率的調達」
が最優先課題であり、細かい手続を含めた規制把握や規制遵守は二の次になってしまう危険が常に存在します。

1999年に発生した茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の高速増殖炉実験炉「常陽」用の核燃料の製造現場での臨界事故では、放射線被曝者計49人、現場から半径350メートル以内の住民に避難勧告、半径10キロ以内の住民に屋内退避を要請、という大事故になりました。

この事故については、転換試験棟において、1991年から現場において承認されたものと異なる工程(本来は、「溶解塔」という装置を使用した手順であったところ、現場がこれを無断で変更し、ステンレス製バケツを使用)が実施されており、その後、1996年にはこのような違反工程が盛り込まれた現場
「裏マニュアル」
が作成され、違法操業が常態化していたことが原因であった、といわれています。

この事例を他山の石として、企業法務・コンプライアンス担当者としては、
「調達・製造の現場においては、面倒くさい法令遵守より効率性・経済性が優先される危険が常に存在する」
ということを十分認識し、細かい操業管理に至るまで法務リスク発見の日を光らせる必要があると考えるべきです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

運営管理コード:CLBP276TO278

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです