01237_調達・製造法務>購買法務、品質法務、環境規制対応法務、偽装対策法務及びPL対策法務。経営資源「モノ」の調達・活用に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>消費者事故調査委員会その1

2012年9月5日に消費者安全法の一部が改正され、同法に基づき、同年10月1日に消費者安全調査委員会が設置されました。

消費者安全調査委員会は、
「消費生活上の生命・身体被害に係る事故の原因を究明するための調査を行い、被害の発生又は拡大の防止を図る機関」
と位置づけられています。

同委員会の所掌する調査対象事故は、運輸安全委員会の調査対象とされている事故等は除かれますが、生命・身体分野の消費者事故等については、製品、食品、施設及び役務を広く対象とし、また、法施行前に発生した事故等も対象とされます。

さらに、他の行政機関等によって調査等が行われている場合であっても、これら調査等の結果の評価を行うとともに、必要に応じて意見を述べ、あるいは委員会自ら調査を行います。

そして、同委員会は、調査や評価の結果に基づいて内閣総理大臣に対し勧告をし、あるいは適時に、消費者被害の発生又は拡大の防止のために講ずベき施策及び措置について、内閣総理大臣及び関係行政機関の長に意見具申を行うことができる、とされるなど強力な権限を有しています。

このように、消費者安全調査委員会は、
「コンシューマー製品、コンシューマー向けサービスに関する欠陥に関して事故が発生した場合における、我が国で最も強力・強大な権限を有する調査機関」
として捉えることができます。

企業にとって最もリスクとなるのは、調査内容についての公表措置です。

特に、コンシューマー製品やコンシューマー向けサービスを販売・提供する企業にとって、自らの製品・サービスが公的機関によってその安全性等に疑義が呈されることは、
「当該ビジネスの終焉」
を意味しかねません。

業務停止命令や許認可等にかかる行政処分を行う場合、行政当局としては、行政処分を受ける企業等への影響の甚大さを考慮して、当該処分発動には慎重にならざるをえません。

制度上、行政処分実施にあたっては告知聴聞手続が前置されるほか、行政当局が処分の是非を検討するにあたっては、
「行政訴訟で争われ、処分が後日覆滅されるリスク」
も考える必要が出てきます。

他方、
「調査した内容を公表する」
という立て付けの行為については、処分性を有しないと考えられるため(「行政機関の行為の結果として制裁的効果をもたらすだけのもの」と捉えられます)、行政当局としても、
「国民の知る権利に応える」
という大義名分の下、積極的かつ柔軟かつ迅速に実施できます。

「ソフトな行政上の措置」
ともいうべき公表措置は、問題企業に致命的な打撃を与え、効果的に行政目的を達成することができるものとして、立法・行政サイドにおいて非常に注目されています。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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