01248_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>予防法務

ファイナンス法務における予防法務についてですが、資金調達・資金運用に関しては、助言・構築を業とする各種専門家が多数存在するので、信頼のおける専門家を擁し、適切な助言を得ることが効果的な紛争予防につながります。

なお、その際、気をつけるべき点は、当該専門家が誰の利益を代弁しているか、という点です。

すなわち、助言採取にあたっては法律ないし契約は、立場が変われば解釈が変わる、ということをふまえておくべきです。

例えば、特殊な金融商品を販売する事案の場合、販売する側の専門的助言者はリスクを全面的に購入者に転嫁するため(商品リスクが顕在化しても賠償等には一切応じないといった取扱い)に知恵を絞りますし、購入する側の専門的助言者はあらゆるリスクを洗い出し商品価格や期待利益とのバランスを図ろうとします。

このように1つの取引事案において、専門的助言者が甲乙2つの立場を同時に併有することはできません。

弁護士にとっては、利益相反はバッジを失いかねない非違行為であり、常にどのクライアントのために働くかということを明確にしますが、金融取引にまつわる様々なプロフェッショナルの中には、利益相反ということに頓着しない専門家がいます。

中小企業の経営者で
「自前の専門家を雇う費用をケチって、利益が相反する相手方のアドバイザーの言うことを鵜呑みにしたため、失敗する」
という方もいますが、このような失敗をしないためには、利益相反する状況において目の前のアドバイザーが誰の利益のために働いているか、を常に意識する必要があります。

いずれにせよ、
「窓口販売している銀行が言っているから大文夫」
とか
「取引相手側の優秀そうな弁護士をみて安心した」
等ということはリスクの発見・予防においては全く無意味であることを肝に命じ、自ら、主体的に予防法務の手間と時間とコストをかけることが必要です。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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