01250_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>ファイナンス法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>金融商品取引規制違反事案への対応>調査

ファイナンス関連法務における争訟法務の実践的な対応のあり方として、証券会社において金融商品取引規制違反事例が発覚したケースを用いて検討します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

まず、調査チームを結成し、事実を調査し違反の全容を解明することが重要となります。

調査チームは、訴訟運営・尋問術に長けた社外の弁護士に委託することとし、法務スタッフを補佐役として、チーム組成することが望ましいでしよう。

調査にあたっては、5W2Hに従って、違反事実の全てを洗いざらい調べ上げ整理することになります。

ただ、一言に事実といっても闇雲に範囲を拡大しても無駄ですので、違反に該当しそうな関係規制を調べ、これらの要件事実を整理し、当該要件事実に該当する事実及びこれに関連する事実を調査範囲とすべきです。

ある規制違反取引が同時に相場操縦行為となる、といった具合に、複数の規制違反にまたがる取引というものも存在するので、調査範囲を不必要にしぼりすぎないよう注意すべきです。

調査によっては、廃棄されずに記録として残っているダンボール何十箱分ものプリントアウトデータを解析することが必要になる状況もありますが、ルーティンをかかえた社内の人員だけでは、このような調査に対応できない場合もあります。

このような場合、データ解析をタスク分解して、外部の派遣要員にアウトソースするような必要も出てきますが、その際、派遣元のセキュリティーレベルを確認し、適切な守秘義務契約をきちんと結び、情報遺漏がないような形でデータ・セキュリテイを実施する必要が出てきます。

事実関係が解明された後あるいはこれと並行して、法令解釈とその適用の是非もつぶさに調べる必要があります。

時効が成立している違反事実や、法改正前には問題となっていない違反事実については、そもそも報告には及ばない場合もありますし、当局の公表するガイドライン等に問題となる形式的な違反行為を状況により適法なものとして扱う旨の記載が存在していたという可能性もあります。

さらに言えば、報告範囲についても、
「報告義務自体が新設されたもので、一定の時期以前の行為については、そもそも法律上の報告義務を基礎付ける根拠がない」
といった場合もありえます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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