01317_消費者法実務>消費者向営業活動に関する個別法務課題>消費者法実務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>行政処分

例えば、特定商取引法の
「電話勧誘販売」
において、企業側が
「毎月〇%の配当がつきます」
との
「不実告知」
を実施したことを理由として行政処分が下される際、行政側は、事業者による違反事実(「業務停止命令等の原因となる事実」)の摘示(処分理由の附記)において、被害に遭った消費者のプライバシーを保護する観点から、
「同社は、2011年1月、X県Y市に在住する女性に対して、『この先物オプション取引は絶対に儲かります。』等の虚偽の説明を行って消費者を勧誘した」
などのように、
「誰が」
「いつ」
「どこで」
などの点について、匿名のまま摘示内容を主張することがあります。

このような場合、企業側としては、当該事実の存否について調査の機会や可能性を奪われた状態に置かれ、事実上反論すらできないまま、処分を受けることになります。

そこで、勧誘内容については、可能であれば全件録音するか(ICレコーダを用いれば十分に可能です)、最低限、日報等を作成して、
「いつ」
「どこで」
「誰が」
「どのくらいの時間」
「どのような方法で」
「どのような勧誘をしたか」
を記録しておいたものを証拠として提出し、行政処分が下される前の告知・聴聞等や、行政処分が下された後の不服申立手続、さらには行政訴訟において、徹底的に争っておくべきです。

なお、匿名性を維持したまま処分が行われることがあるため、競争関係にある他社が、根拠に乏しい通報を監督官庁に対して行う可能性も否定できず、その意味では、消費者保護規制と緊張関係のある営業活動を行う企業は、常に自らの立場の正当性を立証できるよう、証拠の確保や内部統制に意を払わなければなりません。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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