1 民事訴訟
民事訴訟においても、争点は、企業側の違反事実の有無となります。
この場合、企業側が反論する証拠を提出することができなければ、和解においても有利な和解を勝ち取ることができません。
「お客様からクレームが来た以上、誠心誠意お詫びすべきであり、争うなどもってのほか」
などの態度だと、実際には違法行為とされる事実が存在しなかったにもかかわらず、自ら、違法行為の存在を認めることになり、
「あの会社は消費者の敵、悪徳企業である」
との悪評を固定化することになりかねません。
また、和解で処理することができれば、和解条項に互いの守秘義務条項を入れることも可能な場合があり、企業のレピュテーションリスクを管理することができます。
裁判所が一方的に消費者側の言い分を全て認めて判決に向かってしまわないよう、合理的な証拠をもって、徹底的に争っておくべきです。
2 適格消費者団体による介入
これまで、企業としては、消費者からの様々な訴えに関しては、消費者自身の情報力・交渉力・経済力の問題から、あまり真剣に取り合って来なかった一面もあったと思われます。
しかしながら、消費者団体制度が確立したことにより、上記のような企業の姿勢にとって大きなけん制機能が働き始めました。
無論、消費者団体の介入といっても、
「交渉や話し合いもなく、即座に差止請求訴訟が提起される」
という類のものではなく、書面による請求が前置されます。
とはいえ、よほど訴訟に耐えうる状況であれば格別、このような書面が来た際には、事態を甘くみず、適正な和解を視野に入れて誠実に話し合うことが企業にとってリスクやロスの発生の効果的回避につながるかと思われます。
ちなみに、携帯電話会社が中途解約の場合に違約金を請求する旨を契約条項に含めている点について、京都の適格消費者団体が、大手携帯電話会社3社に対して、違約金請求を契約条項に含めることを差し止める訴訟を、2010年と2011年に提起するなど、消費者団体が企業のコンシューマーセールス(消費者向営業)のあり方に積極的に異を唱える活動を開始しており、企業としても十分な注意と警戒が必要です。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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