01373_倒産・再生法務>倒産・再生法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ

1 公平性・透明性の遵守

倒産等の現場においては、何より公平性・透明性が要求されますので、戦略面で知恵を絞って資産の避難や抜け駆けしようとしても、そのような行為は、詐害行為取消権行使や否認権行使の対象となり、後日、全て否定されてしまうことがあります。

さらに、場合によっては、詐欺破産罪などで、刑事上の訴追を受けるリスクも存在します。

その意味では、破産等の有事状況に至った場合には創意工夫の余地はほとんどなく、経営サポート法務、予防法務の段階で、管財人から否認請求をされたり、後日刑事訴追を受けるような行為を冒険的に敢行し、傷を広げることのないようにすることが肝要となります。

2 保全管理命令

破産手続ないし再生手続が申立てられると、裁判所は、破産手続開始決定等を下すまでの間、保全管理命令を発令することがあります。

この場合、債務者の資産は、裁判所が選任した保全管理人の管理下におかれ、債務者は、自分の財産といえども、手を付けることが不可能となります。

3 再生型手続と破産手続の相互関係

再生型手続は破産手続に優先するため、再建型手続の開始決定や、保全措置としての破産手続中止命令(民事再生法26条1項1号、会社更生法24条1項1号)などがあった場合には、再生型手続が優先することになります。

他方、再生型手続が開始したものの、中途で再生が不可能であることが判明した場合には、裁判所は、職権で破産手続を開始することができます(民事再生法250条、会社更生法252条)。

4 債権者破産手続

破産手続開始の申立ては、債務者自身のみならず、債権者もすることができます。

現在行われている破産手続の大部分は、債務者自らが申立てるいわゆる自己破産ですが、少数ながら、債権者が、破産手続開始申立てをするケースが存在します。

破産法上、
「支払不能」
であることが破産手続開始決定の要件とされています(法人の場合には、「支払不能」でなくとも、「債務超過」であれば破産を開始できます)。

債務者側としては、強制的に破産させられることに異議や不服があるのであれば、座して破産手続開始決定を待つのではなく
「そもそも債権者が主張する債権の存在自体争いがある」
「弁済を提供しており、債権者主張の債権はすでに消滅している」
などという形で争うことになります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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