01387_M&A法務>M&A法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>課題と対応の基本>メリットとデメリット

M&Aの主なメリットは、企業同士が結合することによる
「シナジー効果」
です。

例えば、企業規模が拡大することにより、資材等を購入する場合にバイイングパワーを行使することでコストを削減することや、マーケテイングや流通や会社の管理業務を統合することによるコスト削減も可能となります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

このほか、事業拡大や新規事業を開始するにあたっては、すでに事業実体を備えている企業を買収することが時間と費用(立ち上げ費用)の合理化に繋がりますし、特定の技術やノウハウを取り込むことで企業価値を短期間に向上させることもできますので、M&Aは、企業の成長戦略にとっても非常に有益な手法と考えられています。

他方、M&Aのデメリットを考えてみます。

M&Aは
「企業」
という
「対価が極めて計測しにくいもの」
を買う取引であることから、価格算定で交渉が難航するケースが多く見受けられます。

また、取引が終了した後になって、期待された成果が上がらない、という状況が判明することもあります。

加えて、法人格を引き継ぐ形でのM&A(合併や吸収分割等)の場合には、簿外債務や不良債権などをも引き継ぐといったリスクがあり、これがM&Aが終了した後になって顕在化するといった事例もあるようです。

その他、異なる企業文化の融合であるという社会的実情にも注意すべきです。

例えば、大銀行のM&Aなどでは、当初の合併比率のまま取締役の選任が未だになされ、銀行の中核をなすシステムの統合さえも手こずっていたことは記憶に新しく、法人格だけ一緒になっても企業文化が分断したままでは、そのシナジー効果はコスト削減以上のものは存在しないと思われます。

以上のように見てくると、まずは、買収対象企業の価値の査定及びシナジー効果の査定の両面において、正確な見積もりを行うことがM&A取引成功の大きな前提条件となります。

また、取引に先立って予測として折り込んだシナジー効果を現実のものとするため、ポストマージャーインテグレーション(M&A後の統合化作業)により、各種経営資源から事業運営のあり方、さらには企業文化の統合まで含めた作業をきっちり行っていくことが求められます。

運営管理コード:CLBP543TO544

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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