01399_M&A法務>M&A法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>敵対的TOBへの対抗措置としての防戦買い

敵対的TOBを仕掛けられるような場面においては、経営陣自ら自己株式を購入する他、関係の深い企業に自社の株を購入してもらうことで安定株主となってもらい、TOBの成立を阻止するという対抗措置(防戦買い)が考えられます。

防戦買いを実施する際に注意しなくてはいけないのが、金融商品取引法の規制抵触です。

例えば、TOB規制を回避する趣旨で経営陣やホワイトナイト自らは25%程度しか買い進めることがなかったとしても、関係の深い企業と併せて3分の1を超えるような買い進め方をするときには、TOB規制が働く可能性があります。

すなわち、一定の密接な関係にあると定められている
「特別関係者」
による買付けと合わせ、当該買付けにかかる株式の割合がTOB規制の範疇に入る場合、防戦買いを行う側もTOB(カウンターTOB)を行わなくてはなりません。

この他、株式を買い進める際における、金融商品取引法上の規制課題として、5%ルール適用時における
「共同保有者」概念
があります。

すなわち、大量保有報告書提出義務の前提となる比率の算定上、支配関係にある会社等の協力を仰いで行った場合には、当該協力を行う会社は
「共同保有者」
として比率合算の対象になることに留意が必要です。

ちなみに、
「共同保有者」
概念は、上記
「特別関係者」
概念よりも狭く定められていますが、これは、TOB規制という支配権維持に関わる重大局面においては、違法不当な防戦買いによって特定少数者の間だけで支配プレミアムの移転が行われやすい、という点に鑑み、このような事態を防止すべく、規制対象者を広く捕捉する趣旨に出たものと考えられます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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