01404_反社会的勢力対応法務>反社会的勢力対応法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説

昨今、指定暴力団や、いわゆるフロント企業等の準構成員や関係者(ここでは、これらを併せて「反社会的勢力」として呼称します)は、一見すると正常に見える企業活動を装ったり、公益活動等を標榜する団体であると自称したりするなどの方法で、社会に溶け込み、その素性を巧妙に偽装しています。

また、反社会的勢力は、昭和や平成初期の時代のように、
「みかじめ料」「ショバ代」「口止め料」
といった不明瞭かつ違法な資金獲得を、ある意味
「わかりやすい形で」
暴力的に要求するといった手法だけではなく、証券取引や不動産取引といった正当な経済活動を装って巧妙に企業に接近するための様々な手法を編み出しています。

このような点から、企業に対して攻撃を加える反社会的勢力はその発見が困難であり、有効な対抗策を取るタイミングが遅れ、気がついたときには相当程度企業が蚕食されてしまう、といった被害事例が多発しています。

「反社会的勢力」
というのは法的な用語ではなく、したがって確たる定義があるわけではありませんが、一般的には
「市民社会の秩序や安全に脅威を与え、経済活動にも障害となりうる者、又は団体の総称」
をいいます。

具体的には、暴力団、その構成員、準構成員、暴力団関係企業(いわゆるフロント企業)、総会屋、えせ右翼、えせ同和問題研究会などの組織、団体を指します。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(いわゆる「暴対法」)は、
「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」
を暴力団として定義し、各都道府県の公安委員会から
「暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団」
として指定された暴力団を、特に
「指定暴力団」
と定義しています。

株主総会における議事進行の妨害を念頭に金銭を要求する等の行為を生業とするいわゆる
「総会屋」
の数についてですが、統計が残っている1983年の約1,700人から、商法上の利益要求罪が新設された1997年の約900人に、さらに2012年には約280人にまで減少しています。

しかし、現在でもなお、反社会的勢力が、企業に対して不合理な契約の締結を強要したり、フロント企業を下請企業として参入させることを要求したり、といった事件が発生しています。

また、取締役として就任して企業の内部奥深くまで食い込み、企業を食い荒らすようなタイプの反社会的勢力による被害事例も発生しています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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