01454_欧米国際法務>欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>契約法務>権利の不放棄(No Waiver, Waiver)

英米法においては、禁反言(Estoppel)という概念があります。

日本法においても同様の概念は存在しますが、英米法においては、禁反言は日本法よりもやや積極的に適用されることがあります。

例えば、契約書のうえで本来有している権利(履行の請求権や、解除権など)を行使していないと、
「行使しないという態度によって、当該権利を行使しないとの意思を表明した」
「当該権利を行使しないこと、あるいは、当該権利を放棄することを表明したのに、あとになってから当該権利の行使の意思を表明するのは、禁反言に触れる」
などという形で争われます。

英米法を準拠法とする契約を締結している場合において、相手方が履行遅滞状態に陥った場合には、
「相手方の履行遅延を温情で見逃していたこと」
を逆手にとられないようにしておくべきです。

具体例としては、
「Failure or delay on the part of either party hereto to enforce at any time any of the provisions hereof for any one or more defaults shall not be construed to be either party’s waiver of such provisions or of the right of such party thereafter to enforce any such provisions for such or for any other or subsequent default (本契約当事者の一方が、他方の本契約に定めるいずれかの義務違反に対する契約責任の追及を憚怠したからといって、「違反を被った当事者が当該義務を免除した」あるいは「当該当事者が、その義務違反や今後発生しうる同義務違反に対する責任追及の権利を放棄した」などと解釈されてはならない)」
といった条項を挿入しておくことが考えられます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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