リスケジュール(リスケ)は、
「借金の返済のタイミングや返済計画そのものを見直す」
という方法です。
リスケとは、いわば、
「ちょいタンマ(Time out=待って)」
といった趣きで時間猶予を求めるリクエストです。
なぜこんなことができるのかというと、銀行は破産されるくらいだったら無理のない計画に引き直して返済してもらったほうがダメージは軽く済むからです。
リスケは、本人が相談できる場合もありますし、銀行から提案されることもあります。
もちろん弁護士が指導して行うケースもあります。
いずれにせよ、リスケは交渉であり、下手に回ってしまうと良い結果は出せません。
リスケとは支払い時期を延ばすことですから、その分の金利も銀行側は取れるわけです。
銀行側にとっても悪い話ではないので、堂々と臨むことが大切です。
こちらが強気でいったとしても、銀行側から恐ろしい返答がくるわけではありません。
ですから、むしろ
「なんとかしてくださいよ」
「条件を緩くしてくれないなら、こちらも考えがありますよ」
くらいのカジュアルでイージーな気持ちで、ダメ元でいってみる、という感じでプロポーズしてみる、という考え方で差し支えないとも考えられます。
とはいえ、返済しきれないほどの多額の債務を抱えた債務者の場合、いわば、末期の癌の治療と同じです。
「根治する」
わけでも
「寛解」
するわけでもありません。
末期の癌と同様、返済しきれないほどの多額の債務は、改善したりするものではありませんから。
「返済しきれないほどの多額の債務のリスケ」
は、
「『末期の癌の治療』と称する営み」
と同様、
「治療」
という名の
「実質的・実体的にはただの延命措置」
をとっているだけです(癌の延命にも、多額の債務者の時間稼ぎにも相応に意味と価値があることは否定しません)。
リスケの際は、無理なく、調整された新しい返済計画を現実的に履行できるかがポイントです。
より正確にいうと、返済原資、すなわち
「無理なく、持続可能な形で続けられる、通常の事業経営から生じる余剰資金」
で長期間、将来にわたって返済していく、ということが続けられるかどうかが焦点になります。
なお、リスケは銀行から提案をされた場合でも普通に断ることができます。
「無理です」
と答えれば、銀行として、ソフトランディングを前提とする限り、大人しく引き下がり、譲歩を考えるほかありません。
このように銀行が弱腰にならざるを得ないのは、お金がない債務者、すなわち、
「『最強・最凶の抗弁である手許不如意の抗弁』をもって支払を停止してくる債務者」
に対しては、債権者が凄腕の弁護士を何人揃えても歯が立たないからです。
したがって、お金がない債務者相手の債権回収は、
「相手の任意の弁済にすがるほかない」
というほかなく、債務者が圧倒的に有利な立場で
「借金問題解決ゲーム」
を支配する、という形で革命的にルールが変わるからです。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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