01523_一般的な日本の企業の法務への取組姿勢は、「営業重視・管理軽視・法務無視」

法令遵守が各企業毎に自己責任で行わなければならない時代となった現在、管理、なかんずく法務管理を適正に行わないと、今後も健全に生き残ることは不可能です。

実際、金融・証券業界は、いち早くこのような時代の流れに適合して管理強化、法務強化を完了しました。

金融庁も金融検査マニュアルを作り上げました。

このマニュアルを見ると、実質的に企業内部の法令管理の点検項目が全て洗い出されており、各業者側もこれに沿って適正な内部規律を行う体制整備が行えるようになっています。

しかしながら、企業の中には、今だに昭和の時代の感覚から抜けきれないところが少なくありません。

業界的には、製造業、なかんずく食品加工業界がこのような時代の変化を意識することなく、
「営業重視・管理軽視・法務無視」
というスタンスを取り続けていたような印象を持ちます。

その結果、2000年代に入ってから、食品加工業界においては、原材料の不当表示や賞味期限の偽装など、大規模な不祥事が頻発し、そのどれもが大きな社会問題に発展しました。

中小企業においては、コストがネックになるためか、
「営業重視・管理軽視・法務無視」
という経営スタイルを採らざるを得ないようです。

実際、大阪市立大学の調査結果(2005年に行われた大阪市立大学大学院法学研究科「企業法務研究プロジェクト」実施調査)によると、大阪府下の中小企業でアンケートを行ったところ、83%の企業(1838社中1530社)が顧問弁護士はいない、と回答しています。

無論、こういう企業は、法務部を作るお金もないでしょうし、結局、
「法務無視」
でひたすら前進するほかない、ということになるのでしょう。

運営管理コード:YVKSF144TO146

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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