01556_ウソをついて何が悪い(6)_裁判官は「ウソつき」に対する強い免疫・耐性をもつ

「裁判官」
と聞くと、一般の方は、
「正義と真実を愛し、不正を憎み、“ウソつき”に対する強いアレルギーを有する、清廉潔白な人種」
と思われるかもしれません。

しかし、裁判官の仕事場は、前稿のとおり、日本でも有数の“ウソつきホットスポット(密集地帯)”です。

しかも、タチの悪いことに、
「自分の目の前にいる当事者のうち、どちらかが筋金の入りのウソつきで、どちらかがそのウソの被害者」
という状況で、どちらもがあいまいな証拠を示して
「私はウソをついていない。ウソをついているのは相手の方だ」
と言い争っているのです。

こういう環境では、裁判官が
「正義と真実を愛し、不正を憎み、“ウソつき”に対する強いアレルギーを有する、清廉潔白な人種」
であれば、その裁判官は、もはや正気を保つことは困難です。

プロの裁判官としてきちんと仕事をこなしていくためにまず必要なことは、
“ウソつき”アレルギー
を克服し、
「ウソつきやウソ全般に対する免疫・耐性」
を獲得することが求められるのです。

さらにいうと、裁判所に訪れるウソつきは、
“筋金入りのウソつき”
ですから、ウソも演技もプロ級です。

そうなると、どんなに経験を積んだ裁判官でも、間違いの1つや2つ、百や千はやってしまいます。

すなわち、裁判官も人間である以上、どんなにがんばっても
「“ウソつき”を“ウソをつかれた被害者”と見誤る」チョンボ
をすることはありますし、そんなことでイチイチくよくよ悩んでいたら、大量にやってくる事件など処理できません。

したがって、多少のミスにビビるようでは、プロの裁判官としてはやっていけないのです。

日々、
日本でも有数の“ウソつきホットスポット(密集地帯)”である裁判所
に通い、勤務時間中、
“ウソつきガチンコマッチプレー”の行司
としてつき合わさせられる裁判官の多くは、
「“ウソつき”に対する強いアレルギーが有する、清廉潔白な人種」
などではありません。

むしろ、裁判官のほとんどは、
「“ウソ”あるいは“ウソつき”というものに強い免疫・耐性」
を獲得した、
「ウソやインチキに寛容で、どんなにひどいウソを前にしても恬淡としていられる、鷹揚な人種」
なのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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