01604_企業法務部員として知っておくべき海外進出プロジェクト(7)_海外進出に成功する企業の手法その3_「『海外進出』という難事を成し遂げるリーダー」の人材スペックデザイン

(「海外の国や人々や各団体と仲良くなって、国際交流する」などといった活動とは真逆の、)「国内事業展開より数倍、数十倍困難な海外進出を経済的に成功させる」ための各タスクが明確になれば、次に、このような「極めて達成困難な各タスク
を任せることのできるリーダー(責任者)の人材スペックが整理され、明確になってきます。

すなわち、 海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)の人材スペックとしては、
海外進出を経済的に成功させるために必要となる、いずれも極めて達成困難な、各タスク
を、眉一つ動かさず、クールに、スマートに、完璧に成し遂げうる人材、というものになろうかと考えられます。

敷衍しますと、
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージとしては、
1 「海外進出を経済的に成功させるために必要となる、いずれも極めて達成困難な、各タスク」 を、命を賭して、完全に成し遂げる強靭な意志と、
2 これら各タスクを、一定の冗長性(リスクや想定外に常に対応しうるための時間的・経済的・精神的冗長性)を確保しつつ、涼しい顔をして、平然かつ冷静にやり抜けるだけの知識・経験・スキルと、
3 「成功時に得られる、鼻血が飛び出るくらい、旨味があるインセンティブ」を設計して、臆面もなく要求するだけの豪胆さと、当該インセンティブに対する健全な欲望と、
4 声一つ発することなく、被支配者が自然とひれ伏す強烈なオーラと、
5 悪魔の手先のような性根と、
6 遂行しているタスクの毒々しさを全く感じさせることなく、常に、ジェントルかつエレガントに振る舞える典雅さ、
といった各スペックを漏れなく実装した人材、ということになろうかと考えられます。

上記の
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージって、皆さんに、どこかでみたような、そんな既視感が生じませんでしたでしょうか。

すなわち、上記の
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージを受けて、皆さんにおいては、
「これって、まるで、東京でたまにみかける、『日本人を蔑視して、舐め腐っていて、死ぬほど高額の給料をもらって、唖然とするくらいいい暮らしをしていて、クソ忌々(いまいま)しい、反吐が出るほど、イヤ~な感じの、外資系企業の幹部』そのものじゃないか!」
といった感じを抱かれたのではないでしょうか。

そして、そういう
「東京でたまにみかける、『日本人を蔑視して、舐め腐っていて、死ぬほど高額の給料をもらって、唖然とするくらいいい暮らしをしていて、クソ忌々(いまいま)しい、反吐が出るほど、イヤ~な感じの、外資系企業の幹部』」
によって経営されている外資系企業は、どの企業も、順調に儲かっているのではないでしょうか。

こういう言い方をすれば、帰納的に理解・納得いただけるのではないか、と思います。

初出:『筆鋒鋭利』No.100-3、「ポリスマガジン」誌、2015年12月号(2015年12月20日発売)

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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