01864_法律相談後に入手した書類を弁護士に渡す方法

弁護士相談を経たクライアントが、必要な書類を準備しなければならない場面があります。

書類によっては、弁護士が代理で取得することが可能なものもありますが、時間とカネという資源をできるだけ小さく・低く抑えたいのであれば、クライアント自身がそろえた方がいいでしょう。

さて、その書類ですが、一般的には、すでに手元にあってすぐに準備できるものから、入手するには手間と時間がかかるものまで、いろいろなものが含まれます。

用意するクライアントしては、すべて揃ってからまとめて弁護士に渡したほうがいい、ということを常識だと思う方もいるかもしれませんが、それは、法務相談の内容にもよりますし、クライアントが望むゴールの時期にもよります。

1つ言えるとするならば、そのようなことでさえも、自身の常識にとらわれずに、弁護士に確認をしたほうがいい、ということです。

たとえば、
「○○などは一度に送ったほうが五月雨式より良いと思いますがいかがしましょうか?」
と、問うクライアントに対し、弁護士が
「1回で、完璧なものを送っていただけるだけくらい、疎漏・不首尾がなく、要求事項を完璧にこなせる事務資源があれば、『一度に送ったほうが五月雨式より良い』と思います。
ですが、やり直しや追加等が発生することを考えれば、できたものから、送っていただき、パズルを完成させていった方が、時間と資源の節約になると思います。
とりあえず、一切合切送ってもらって、こちらで追加等を拝見させていただき、あり得べき追加や補充等をご指示申し上げていき、完成度を上げていく方がよいような気がします」
と、こたえる場合もあるのです。

要するに、
「揃ってからまとめて送ってください」
という場合もあれば、
「入手できたものから送ってください」
「スキャンしたもの(あるいは写メ撮ったもの)でいいから、まずは送ってください。原本は、持参(あるいは郵送)してください」
という場合もあるのです。

最後にもう1つ。

「『足らざるは過ぎたるに如かず(the more, the better)』という形で、できたものから送っていただいた方が、時間と労力の節約になり、プロジェクトの進捗に貢献すると思います」
「できたピースをどんどん埋め合わせて、逐次完成度を高めて、パズルを完成させる、という営みに近いので、五月雨式でいいので、入手できた情報からどんどん送り込んでいただければ幸いです(経験上、その方が、迅速かつ合理的です)」
などと、弁護士の文章は丁寧すぎるほどでしょうが、丁寧だからといって、おざなりにしたり、そのままにしていると、(弁護士の)時間を費消し、ひいては(弁護士費用という)カネを費消することになりかねません。

法務相談を短期で終わらせるクライアントは、皆一様に、弁護士が拙速に仕事できるよう、書類の準備ひとつとっても(質問の仕方も含め)立ち回りがうまいものです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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