訴訟を提起するために、相談者が自身の体験した事実をミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化するにあたって、
あいつは臭い
あいつはむかつく
あいつはひどいやつだ
あいつは昔悪かった
あいつはこんなせこいやつだ
と、訴状に書くよう弁護士に依頼したとしても、弁護士としては、依頼者の気持ちはわかるが、ストーリーを混線させる要素は、できるだけ取り除く方向で訴状の構築を諫言します。
なぜなら、依頼者のいう、
あいつはこんなせこい
あいつは臭い
あいつはむかつく
あいつはひどいやつだ
あいつは昔悪かった
あいつはこんなせこいやつだ
は、すべてノイズであり、裁判所に心証形成上の負荷をかけるだけだからです。
アナロジーを使って説明を試みますと、裁判所は、食の細い食通ないし評論家であり、不要なものまで配膳すると、星を下げるのです。
ということで、依頼者のいうことは、有害なノイズになるだけであり、裁判官から
「原告は、本人も代理人も、揃いも揃って、裁判というゲームをよくわかっとらんアホだ」
という冷ややかな視線を浴びることになります。
弁護士は、さほど自己評価を高めたいという気もなく、お客様(依頼者)が不利を承知で満足されるのであれば、それも仕事としてやりますが、依頼者にとっては、裁判官から見下されるのは、あまりよろしくないのではないだろうか、と思うところです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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