01893_トレードオフ課題

あっちを立てればこっちが立たず、という択一的課題を指します。

トレードオフ課題対する正しい課題対処としては、
「非選択課題(選ばなかった課題)について、決断力を以て一切放棄し、その不利を容認する」
ということが求められます。

もっともやってはいけないことは、
「トレードオフ課題に対して、いいとこ取りを模索する」
という態度・行動です。

たとえば、2020年オリンピック開催の是非は、医療資源が有限であることが前提である以上、
「オリンピックを開催するか、重症の老人を医療資源逼迫を理由に救済を先延ばしするか」
というトレードオフ課題でした。

ワクチン普及を進めることは、
「ワクチンを普及させて社会全体を救うか、副反応や拒否反応出た方々の犠牲を容認するか」
というトレードオフ課題です。

以上の状況を前提としつつ
「オリンピックは開催するが、医療資源逼迫を理由としては誰一人死なせない」
「ワクチンの普及・開発を進めるが、副反応等で誰一人苦しめない」
という
「いいとこ取り」
での態度で臨むことは可能でしょうか?

そういう
「いいとこ取り」
をした場合、どんなリスクが出るでしょうか?

すなわち、
「トレードオフ課題に対して、いいとこ取りを模索する」
という態度・行動で失うものは、何でしょう?

それは、
「時間」

「機会」
という、もっとも貴重な資源(一度喪失すると不可逆的に喪失し、再調達が絶対不可能)です。  

いいとこ取りの姿勢で、(出てこない、出てくるとしても長期の時間や労力資源が必要となる)完全解を探して、グズグズしていると、時間と機会を失ってしまい、最悪の結果に陥る、ということになるのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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