01913_もめごとが起きたときの当事者の内面状況

かなりパニックになり、冷静な判断ができない状況に陥ります。

また、
「急がば近道」
の思考回路となっており、
「『急がば近道』が正常である」
という状況になります。

そして、
「特効薬」
「速攻で解決する方法」
を模索するあまり、冷静な状況認知・状況解釈・状況評価・課題整理・秩序だった選択肢抽出・合理的試行錯誤、というこの種の正解も定石もない事案対処において取るべきステップが、頭に入ってこない状況となります。

引用開始==================>
まず、持つべきは、未知の課題や未達成の成功に対する「謙虚な姿勢」です。
正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題です。
「こうやれっばいい」
「こうすべきだ」
「正解はこれだ」
「絶対このやり方がいい」
とこの世の誰も断言できることができない課題です。
なぜなら
「正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」
だからです。
「 正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」
について、
「正解を知っている」
「定石を知っている」
と言い出す人間は、壊滅的なバカか、邪悪な詐欺師です。
未知の課題や未達成の成功に対する
「謙虚な姿勢」
というのは、正解を探す努力や、
「正解や定石を知っている」
と称する人間を探す努力を、勇気をもって放棄することも含みます。
そうしないと、この種のバカに振り回されたり、詐欺師に騙されたりして、多くのカネや時間やエネルギーを喪失することになります。
次に正しいチームビルディングです。
プロジェクト・オーナー(動員資源を拠出し、最終的に結果の成否を負担する人間である、決裁者)、
企画設計者、
プロジェクト・マネージャー(企画遂行責任者)、
企画遂行者、
バイアス補正やゲーム・チェンジのための外部知的資源
といった、明確な役割をもち、スキルと責任を有する者により組成されたチームを作り上げることです。
そして、これらチームが、前記の
「 正解もなく、あるいは正解も定石も不明な課題」の
「謙虚な姿勢」
をもって、科学的・合理的プロセスを踏みながら、取り組むことです。
すなわち、
状況や環境や相場観を冷静かつ客観的に認識・評価し、
現実的なゴールを設定し、
ゴール(TO BE)とスタート(現状、AS IS)のギャップ(差分)を埋めるために必要な課題を抽出し、
課題を乗り越えるために必要な対策・方法論・対処行動上の選択肢のすべてを抽出し、
これにプロコン評価(長短所分析)を加え、
プロジェクトを遂行していく、という合理的な取り組み方です。
当然ながら、一発でゴールが達成されることは稀です。何度も試行錯誤をすることになります。
その際、効率的で検証可能な試行錯誤をすべきです。
すなわち、
抽出された「課題を乗り越えるために必要な対策・方法論・対処行動上の選択肢」を試行していく場合の先後を整序し、
試行の状況を記録し、
失敗した場合に正しく振り返りと柔軟なゲーム・チェンジをしていく、
という合理的試行錯誤です。
<==================引用終了

ちなみに、
「正解も定石もない事案対処」
において、もっともやってはいけないことは、
「正解」
を探したり、
「正解を知っていると称する(言葉のみならず、態度で示す者を含む)」
人間を探すような、愚考をやめ、目を覚まして、合理的な試行錯誤を構築し、実施することです

引用開始==================>
訴訟や紛争事案対処というプロジェクトの特徴は、
・正解が存在しない
・独裁的かつ絶対的権力を握る裁判官がすべてを決定しその感受性が左右する
・しかも当該裁判官の感受性自体は不透明でボラティリティーが高く、制御不可能
というものです。
「正解が存在しないプロジェクト」
で、もし、
「私は正解を知っている」
「私は正解を知っている専門家を紹介できる」
「私のやり方でやれば、絶対うまくいく」
ということを言う人間がいるとすれば、
それは、
・状況をわかっていない、経験未熟なバカか、
・うまく行かないことをわかっていながら「オレにカネを払えばうまく解決できる」などというウソを眉一つ動かすことなく平然とつくことのできる邪悪な詐欺師、
のいずれかです。
そもそも
「絶対的正解が存在しないプロジェクト」
と定義された事件や事案については、
「正解」
を探求したり、
「正解を知っている人間」
を探求したりするという営み自体、すべてムダであり無意味です。
だって、
「絶対的正解が存在しないプロジェクト」
と定義された以上、
「正解」
とか
「正解を知っている人間」
とかは、
「素数の約数」
と同様、世界中駆けずり回ったって絶対見つかりっこありませんから(定義上自明です)。
とはいえ、こういう
「正解」がない事件や事案
であっても、
「現実解」や「最善解」
なら想定・設定可能なはずです。
「正解」
がない事件や事案 に立ち向かう際にやるべきことは、正解を探すことでも、正解を知っている人間を探すことではなく、まず、
・とっとと、正解を探すことや、正解を知っている人間を探すことを諦めること
と、
・現実解や最善解(ひょっとしたら、クライアント・プロジェクトオーナーにとって腹が立つような内容かもしれませんが)を想定・設定すること
です。
次に、この現実的ゴールともいうべき、現実解や最善解を目指すための具体的なチーム・アップをすること、すなわち、
・プロセスを設計・構築・実施するための協働体制を描けるか
・それと、感受性や思考や行動が予測困難なカウンターパート(相手方)である敵と裁判所という想定外要因が不可避的に介在するため、ゲームチェンジ(試行錯誤)も含めて、柔軟な資源動員の合意を形成できるか
という点において、親和性・同調性を内包した継続的な関係構築を行い、(おそらく相当長期にわたることになる)事件や事案を協働できるチーム・ビルディングを行うべきです。
<==================引用終了

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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