01915_もめごとが起きたときの当事者の内面状況その2

もめごとが起こったとき、一番大きな問題となるのは
「当事者に強固なバイアスが働く」
ということです。

当事者の内面としては、
「◯◯の専門家」
に頼めば、何とかなるんじゃないか(と思いたい)、と考えがちです。

これが
「強固なバイアス」
というものです。

他方で、相談を受けた弁護士は、
「任せろ」
「何とかしてやる」
「正解を知っている」
「こうすれば大丈夫」
など無責任なことは、決して言いませんし、倫理上、言えません。

このようなことから、当事者の反発や心理的抵抗もあって、当事者と弁護士のチームエンゲージがなかなか進まないことが少なくありません。

弁護士として、経験論でいいますと、
「賢くて、成熟していて、誠実で、内罰的傾向があり(=外罰性が皆無で=人のせいにしない)、謙虚であって、(カネ・時間・人という)資源を動員する気概があるクライアント・当事者」
とチームエンゲージができるのであれば、当事者のいう
「思い通りの解決」
にいたらないまでも、
「大事を小事に、小事を無事に近いものにできる」
ことは可能です。

とはいえ、
「大事を小事に、小事を無事に近いものにできる」
ことに、 (それがいかに、大量の資源を動員させるほど難易度が高いことであるかを)理解し、 納得ができる当事者は、ほんのひとにぎりです。

なにしろ、
「(専門家に頼みさえすれば)思い通りの解決ができる」
というのも、当事者の内面にある、まったく都合のよい、身勝手なまでの
「強固なバイアス」
なのですから。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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